ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
政局LIVEアナリティクス 上久保誠人

学生は衰退する日本よりも、
海外で就職できる実力を磨け

上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]
【第47回】 2010年4月13日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 4月から、立命館大学政策科学部に准教授として赴任した。私の任務は講義・研究に加えて、英語のみによって学位のとれるコースの設置準備だ。それに関連して、今回は「若年層の就職難」の解決策として「大学の国際化」について論じる。

若年層の就職難は、
彼らの努力不足ではない

 若年層の就職難は、彼らの努力不足とみなされることが多い。しかし実態は、90年代以降、バブル経済の崩壊とグローバリゼーションによる「失われた10年」と呼ばれる長期的な経済停滞に対して、国内の正社員の「長期雇用保障の慣行」を頑なに守ろうとしたことで起こっている。

 「長期雇用保障の慣行」とは、一般的に「年功序列」「終身雇用」として知られるもので、新卒で正社員として就職できれば、定年近くまでの数十年間、失職しないシステムだ。しかし、「失われた10年」の時期、日本企業は国際競争力を維持するために多国籍化し、開発途上国の安いコストで生産する体制を作ったが、一方で国内の労働需要が激減した。

 これに対して日本企業は、「慣行」に従って既存社員の雇用維持に努め、新規採用を抑制し、派遣や請負等の非正規雇用社員を増加させた。その結果、若年層の多くが新卒で正社員として採用されず非正社員となっているのだ。

 そして、非正社員として社会人をスタートした若年層が、その後に正社員の職を得ることは極めて難しい。与野党の政治家、財界、労組、マスコミのほとんどが中高年の正社員の雇用維持を主張しているからである。

 若年層の就職難に対する1つの解決策は、彼らを海外で就職させることだろう。なぜなら、日本企業は国内では採用を激減させているが、逆に海外支店での採用数は増加させているからだ。

 また、中国をはじめとするアジア諸国では、外資系企業などが採用を増やしている。しかし現在の日本では、「海外に出て働ける高学歴層の若者」は、少数の帰国子女や海外の大学への留学生に限られている。そして、彼らでさえ、日本企業の海外支店や外資系企業が参加するアジアのジョブ・マーケットでは競争力がない。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]

1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。博士論文タイトルはBureaucratic Behaviour and Policy Change: Reforming the Role of Japan’s Ministry of Finance。

 


政局LIVEアナリティクス 上久保誠人

「大物政治家に話を聞いた」「消息通に話を聞いた」といった大手マスコミ政治部の取材手法とは異なり、一般に公開された情報のみを用いて、気鋭の研究者が国内・国際政局を分析する。

「政局LIVEアナリティクス 上久保誠人」

⇒バックナンバー一覧