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難民受け入れを欧州の一般市民はどう考えているのか

仲野博文 [ジャーナリスト]
2015年9月29日
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増え続ける難民に対し、欧州各国の政府レベルでの対応は、それぞれの事情から温度差が生じている。ハンガリーでは国境を封鎖し、世界の非難を浴びた Photo:REUTERS/AFLO

シリアを中心とした中東やアフリカからの難民の流入が続く欧州。90年代のユーゴスラビア紛争時をはるかに凌ぐ難民が西ヨーロッパを目指し、第2次世界大戦以降最大の難民問題に欧州各国は直面している。難民の受け入れに対する各国の温度差や、難民問題に対応するために作られた協定の事実的な破綻。今後さらに数百万人の難民が欧州に流入する可能性が懸念されるなか、欧州各国は難民問題とどう対峙し、どういった解決策を見出していくのか。各国のジャーナリストらを中心に話を聞いた。(取材・文/ジャーナリスト 仲野博文)

強硬イメージのハンガリー
国内では世論が二分

 大量の難民・移民が通過・滞在するヨーロッパ諸国において、それぞれの国の国民はこの問題をどのように見ているのだろうか?西ヨーロッパを目指す難民の通過点となっているハンガリーでは、オルバーン政権がセルビアとの国境にフェンスを設置し、国境地帯で警察が難民を強制排除するために催涙ガスを用いた様子が報じられると、世界中で大きな非難を浴びた。

 ハンガリー出身で、現在は東京在住のクリスティーナ・ベセニャイさんは、難民に対して非情な姿勢で対応するハンガリーのイメージが国際的に定着しつつあることに困惑している。

 「これまでハンガリーに難民や移民が定住することはありませんでしたし、今回の難民問題でも、ハンガリーはあくまで西ヨーロッパに移動するための通過点に過ぎないのです。(経済的な面で)ハンガリーは移民にとって理想的な場所とは言えません。国内では少数民族ロマに対する差別が今でも存在し、2008年から2009年にかけて何人ものロマが殺害されるショッキングな事件が発生しましたが、もともと西ヨーロッパのように多くの移民が移り住んでくることが無かったため、移民や外国人に対する大々的な排斥運動も存在しませんでした」

 ハンガリー議会は21日、国境地帯に押し寄せる難民や移民を強制排除する目的で軍の投入を可能にする法案を可決。オルバーン政権は難民問題でさらなる強硬姿勢を打ち出しているが、ベセニャイさんによると、ハンガリー国民の間では難民問題に関して考えが二分しているのだという。

 「オルバーン政権による強硬策は支持率アップを狙ったパフォーマンスでしょう。しかし、オルバーン政権の難民への厳しい対応が引き金となって、ハンガリー国内ではシリアなどからやって来る難民への対応をめぐってメディアの論調が完全に二分しています。ハンガリーに住む友人の間では内戦などによって母国を離れざるをえなくなった難民に対しては、ハンガリーを含めたヨーロッパ諸国がきちんと受け入れをすべきだという意見が多いです」

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仲野博文 [ジャーナリスト]

甲南大学卒業、米エマーソン大学でジャーナリズムの修士号を取得。ワシントンDCで日本の報道機関に勤務後、フリーに転身。2007年冬まで、日本のメディアに向けてアメリカの様々な情報を発信する。08年より東京を拠点にジャーナリストとしての活動を開始。アメリカや西ヨーロッパの軍事・犯罪・人種問題を得意とする。ツイッター:twitter.com/hirofuminakano

 


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