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勝てる経営者の「会計脳」

経営者の「数字リテラシー」が上がれば、競争力は向上する

鹿島 章 [プライスウォーターハウスクーパース代表取締役]
【第1回】 2015年10月5日
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競争力が高い韓国企業は
経営者が「数字が読める」

 私はコンサルタントとして、日本企業が海外に進出し、狙いどおりの業績が上げられない事例を多く見てきました。

かしま・あきら
大阪大学経済学部経営学科卒業。公認会計士。1985年、大手監査法人に入所。上場企業を中心に幅広い業種の監査業務に携わる。1995年、会計事務所系コンサルティング部門に移籍。アトランタ事務所ビジネスコンサルティング部門を経て、会計・経営管理分野の幅広いコンサルティングに従事し、2度の企業統合を経験している。2012年、プライスウォーターハウスクーパース株式会社常務取締役(コンサルティング部門代表)、2015年7月より、現職。

 理由は様々ですが、「経営者が海外事業の業績をタイムリーに捉えておらず、取るべき対策・戦略が後手に回り、損失が拡大した」ということが大きな原因になっているケースは少なくありません。それにもかかわらず、業績不振の理由として「自分が数字をきちんと把握していなかった」と自覚している経営者が日本にはあまりにも少ないというのが私の実感です。

 なぜ、そうなってしまうのか。

 日本の経営者は多くの場合、国内市場で成功した経験を持つ人です。国内の市場を見通すセンスは確かであり、自分の経験や勘も働くため、あまり細かい業績の数字を見る必要がなく、結果を残してきた人が多いのでしょう。

 ところが、海外に進出し、根本的に市場構造が日本と異なっていると、それまでの経験や勘は通用しないケースが多く出てきます。それにもかかわらず、経験や勘を元に仮説を立て事業を行なっていると当然、業績は伸び悩むのです。

 そこで「自分の勘が鈍ったのではないか」「戦略を間違えたのではないか」と自分の経営手腕を反省する前に、「数字を細かくきちんと見ていたか」を確認してみると、そこを見落としていて手を打てなかったために業績悪化を招いた、と気づく経営者は多いはずです。

 環境変化が早い昨今、特に製造業ではグローバル市場を相手に「手を打つ」ことが遅れたことによって、経営に行き詰まるケースが増えています。テレビでも、携帯電話でも、デジタル化が進み、世界中のマーケットで競合企業が増え、製品価格が下がるスピードが速くなりました。この変化スピードの中では「手を打つ」のが遅れることが致命傷になるのです。「手を打つかどうか」の経営判断の重要な基準になる1つが「数字」です。

 逆に「経営者が会計数字を迅速に確認するようになると、競争力が高まる」というのは韓国企業が実証済みです。

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鹿島 章 [プライスウォーターハウスクーパース代表取締役]

大阪大学経済学部経営学科卒業。公認会計士。1985年、大手監査法人に入所。上場企業を中心に幅広い業種の監査業務に携わる。1995年、会計事務所系コンサルティング部門に移籍。アトランタ事務所ビジネスコンサルティング部門を経て、会計・経営管理分野の幅広いコンサルティングに従事し、2度の企業統合を経験している。2012年、プライスウォーターハウスクーパース株式会社常務取締役(コンサルティング部門代表)、2015年7月より、現職。

 


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