「もうどこからもおカネを貸してもらえないんじゃないかしら」
改正貸金業法の完全施行が6月18日に近づいているなかで、専業主婦にこんな危機感が生まれつつある。大半の消費者金融、カード会社は専業主婦向けの融資を大幅縮小する意向で、すでに一部の業者は融資を絞り込んでいるのだ。
6月以降、専業主婦のように収入がない場合は一定の条件をクリアしないと借りられなくなる。必要書類は、(1)本人確認書類、(2)住民票などの婚姻証明書、(3)配偶者の収入証明書、(4)配偶者の同意書、(5)配偶者の指定信用情報機関への情報提供の同意書、など。これだけの書類を提出するのは大変な作業だ。そもそも無担保ローンを借りるのは緊急時が多いだけに、急に書類を揃えるのは難しい。
なにより、消費者金融やカード会社は主婦向けの融資を事実上、ストップする腹づもりだ。大手消費者金融幹部は「事務作業量やシステムの変更などのコストを考えると、ストップしたほうがいい」としており、大半の消費者金融やカード会社は6月以降、融資を手控えることになる。専業主婦向け貸し付けに取り組むと公言しているのはカード会社のセディナくらい。家族カードという選択肢もあるが、カード各社はあまり積極的に勧めてはいない。主婦の借入額は少なくて儲からない事業となりそうだからだ。
上図のように、主婦の借り入れ理由はまっとうなものが多い。主婦の借入額の平均は46万円と全体の平均に比べ少ないが、借り入れできないときの深刻さは大きい。セーフティネットもほとんど用意されておらず、社会問題化する可能性もある。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 野口達也)