「幸せ食堂」繁盛記
【第十三回】 2015年10月15日 野地秩嘉

日本橋に、非凡の立ち食いそば屋を発見。
メニューの目玉は、傑作のインド風カレーライス!

まだ東京に2店しかないのだが……

「よもだそば」は立ち食いの店で、店舗はいまのところ日本橋と銀座のふたつだけだ。店舗の外観、店内インテリア、従業員の様子……、いずれも標準的な立ち食いそば屋で、見かけは平凡。しかし、業容は非凡そのものである。

 まず、肝心のそばは日本橋の店舗内でそば粉から製麺したものを使っている。そばつゆ(かえし、だし)は、ともに天然の素材で作ったもので、むろん、化学調味料は使っていない。

 メンチとコロッケは冷凍を揚げたものだけれど、かき揚げ、紅しょうが天などの天ぷらはいずれも店内で調理したものである。製麺に使う水、だしを取る水、飲料水は浄水。

 そして、なんといっても手羽元がまるまる1本入った辛いインドカレー(490円)はスパイスの調合から煮込むところまですべて自家製。ご飯はコシヒカリ。

 わたしはよもだそばの日本橋店によく行く。近所にある歯医者に通っているから、昼食はつねにその近辺で食べる。よもだそばのある通りには他に立ち食いそばが2店舗、普通のそば屋が1店舗ある。

 どの店もそれなりにおいしいけれど、よもだそばは一頭地を抜いている。強烈な存在感がある。よもだそばの店が増えていけば、立ち食いそば業界は震撼すると思われる。

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野地秩嘉 1957年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業。出版社勤務、美術プロデューサーなど を経て、ノンフィクション作家に。食や美術、海外文化の評論、人物ルポルタージュ など幅広く執筆。近著に、「TOKYOオリンピック物語」「イベリコ豚を買いに」「打 ち合わせの天才」「アジア古寺巡礼」「アジアで働く いまはその時だ」など。


「幸せ食堂」繁盛記

この連載は、味がよく、サービスも悪くなく、値段はリーズナブルで、しかも、できればハイサワーやホッピーを置いている店のグルメガイドだ。ここで紹介される店は、金持ちの社長やグルメ評論家はまずいない。著者は、そういう店を「勤労食堂」「国民酒場」と呼ぶ。そこでは客が微笑しながら食べている。ほほえみながら食べている人と一緒にいることは至福だ。人生の幸せは勤労食堂もしくは国民酒場にある。

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