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生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

灯油代も削られ厳しい冬に!
過酷化する北海道の生活保護の現実

みわよしこ [フリーランス・ライター]
【第26回】 2015年10月16日
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2015年10月より、生活保護の冬季加算(暖房費分)が削減された。約15~25%に及ぶ大幅な引き下げで、北海道の生活保護利用者の冬の暮らしは、どのように変わるのだろうか?

冬季加算の大幅減額
北海道の冬の暮らしは、どうなる?

北海道の冬は、道外の人には想像もつかないほど過酷だ

 生活保護費の生活費分(生活扶助)には、冬の暖房などによる支出増大を補う目的で、「冬季加算」が設けられている。冬の寒冷・積雪などの厳しさによって全国をI区(北海道・青森県・秋田県)~VI区(本州の概ね南関東以南の太平洋・瀬戸内海沿い、四国と九州の全域)に区分、この区分に加え、級地(生活コストによる自治体ごとの区分)・世帯人数ごとに加算金額が決定されている。

 冬季加算の対象となる期間は、今年度より10月~翌年4月の7ヵ月間になる。1951年に創設されて以後、2014年度までは11月~翌年3月の5ヵ月であったが、今年度より寒冷地の早い冬と遅い春が考慮されることになった。

 しかし今年度より、冬季加算の月額が減額される。対象期間が5ヵ月から7ヵ月へと延長されたにもかかわらず、一冬の総額では大幅な減額となる。下の表は、札幌市での一冬の冬季加算の総額を昨シーズンと今シーズンで比較したものだ。

 「寒冷地とはいえ、こんなに暖房費がもらえるとは!」という印象を持たれる方もいるかもしれない。正規雇用・非正規雇用を問わず、民間企業で「給料に冬季の暖房費や夏季の冷房費を加算しなくてはならない」というルールはない。雇用する側の裁量で加算することは可能であるし、北海道には寒冷地手当・暖房手当を支給する企業も実際に存在する。しかし、支給しないからといって、あるいは充分な金額でないからといって、ペナルティがあるわけではない。

 ただし、各都道府県の最低賃金は、冬季加算を含めて、生活保護基準を下回らないように定められる。「生活保護以下ではなくなった」とされる最低賃金が、実際に「働いたら生活保護以上の生活になる」を実現できているかどうかは別として、冬季加算の引き下げは、すべての人々の給料に関係する。

 とはいえ、最初に影響を受けるのは、ほかならぬ生活保護利用者たち本人だ。今月から始まる冬季加算引き下げで、どのような影響を受けるのだろうか?

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みわよしこ [フリーランス・ライター]

1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら


生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

生活保護当事者の増加、不正受給の社会問題化などをきっかけに生活保護制度自体の見直しが本格化している。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を紹介しながら、制度そのものの解説。生活保護と貧困と常に隣り合わせにある人々の「ありのまま」の姿を紹介してゆく。

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