最近の原油相場を振り返ると、9月下旬までは激しい変動が続いていたが、その後、値動きは小さくなり、欧州北海産のブレントで1バレル当たり48ドル前後、米国産のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で同45ドル前後を中心に推移していた。しかし、ここにきて相場がやや切り上がっている。

 相場の変動材料を見ると、WTIの受け渡し地点であるオクラホマ州クッシングにおける原油在庫の減少(9月24日)、米景気の減速懸念を和らげるFRB(米連邦準備制度理事会)議長講演を受けた投資家のリスク志向の回復(25日)、米国の石油掘削リグの稼働数の減少(10月2日)などが原油相場の押し上げ材料となった。

 一方で、中国の工業部門企業利益の減少などを受けたリスク回避の強まり(28日)、米国の原油在庫やガソリン在庫の増加(30日)、大型ハリケーンが米東岸の石油施設に打撃を及ぼすとの懸念の後退(1日)などが原油相場の下落材料になった。双方の材料が拮抗し、値動きは膠着した。

 しかし、5日には、石油掘削リグの稼働数の減少が原油生産の抑制観測につながったことに加え、ロシアのノバク・エネルギー相がOPEC(石油輸出国機構)などとの産油国会合の参加に前向きな発言を行ったことから世界的な原油の供給過剰問題の解消に向けた期待感が広がった。