「今の独占状態だと、権利者が選ぶ選択肢が一つしかない。有力な対抗馬をつくっていきたい」(エイベックス著作権管理子会社の阿南雅浩社長)

 9月末、エイベックス・グループ・ホールディングスが、著作権管理業界シェア2位のイーライセンスと、3位のジャパン・ライツ・クリアランス(JRC)の筆頭株主となり、両社の事業統合に向けた協議も開始した。

 著作権管理事業は、テレビ局やレコード会社、カラオケ店などが楽曲を使用する際、作詞家や作曲家などに代わって使用料を徴収することが主な業務だ。そして、業界のシェアの約98%を日本音楽著作権協会(JASRAC)が握っていることでも知られる。

 JASRACは、飲食店や衣料品店、美容院など、BGMとして音楽を流しているあらゆる業態の店舗などを訪問して使用料を徴収する徹底ぶりが有名だ。今年7月にはそうした全国の258施設に、過去の使用料支払いとBGMの使用停止を求める民事調停を一斉に申し立てたことも話題になった。

最高裁判決が後押し

 では、なぜレコード会社が出自のエイベックスが、この強固な独占市場へ本格参入するのか。

 一つは、CD時代の終焉から音楽産業が急速に落ち込む中でも、JASRACが得る使用料徴収額はむしろ伸びているためだ(下図参照)。著作権料の中でも、CDよりコンサートなどは分配額のレートが高く、伸びも見込める。

安定の高水準!
音楽ソフトの売り上げとJASRACの使用料徴収額の推移

JASRACにどう対抗するのか
拡大画像表示