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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

ヨーロッパでは当然の軽減税率を
なぜ日本で実行できないのか?

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第34回】 2015年10月22日
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消費税の構造の問題点はかねて指摘されているが、インボイス導入には事業者の抵抗が大きい

 付加価値税の税率が高いヨーロッパでは、軽減税率が広く行なわれている。なぜ日本では、同じことができないのか?

 それは、日本の消費税にはインボイスがないためだ。そして、免税や簡易課税という特例が存在するからだ。この機会に、日本の消費税の構造を合理的なものへと改革すべきだ。

政府は軽減税率の財務省案を撤回
新たな仕組みを考えると表明

 政府は、消費税の軽減税率に関する財務省案を撤回し、新たな仕組みを考えることとした。

 この問題に関連して、以下では、つぎの諸点を検討することとする。

(1)ヨーロッパでは、最終段階の税率を軽減税率とすることによって軽減税率を実現している。それはどのような仕組みか?

(2)日本でそれを行なえないのは、なぜか? どうすれば実行できるか?

(3)日本でインボイスを導入できないのはなぜか? インボイスを導入すると事務負担が増えると言われるが、本当か?

(4)インボイスを導入すると、どのようなメリットとデメリットがあるか?

インボイス方式:
ヨーロッパの付加価値税の仕組み

 EU諸国などで導入されている付加価値税は、流通の各段階で、取引のたびに課税する。これによる税の累積を避けるため、前段階で課税された消費税を控除する(「前段階税額控除」。これは、仕入れに含まれている消費税を控除することなので、「仕入税額控除」とも呼ばれる)。

 前段階税額控除は、取引事業者間でやりとりされる「インボイス」によって行なわれる。これは、取引対象である商品ごとに、取引内容、税率、税額、取引金額などの法定事項を記載した書類だ。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

アメリカが金融緩和を終了し、日欧は金融緩和を進める。こうした逆方向の金融政策が、いつまで続くのだろうか? それは何をもたらすか? その先にある新しい経済秩序はどのようなものか? 円安がさらに進むと、所得分配の歪みはさらに拡大することにならないか? 他方で、日本の産業構造の改革は遅々として進まない。新しい経済秩序を実現するには、何が必要か?

「野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて」

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