ベストセラー『8つの鍵』の著者で、世界的なコンサルタントであるロイス・クルーガー氏。ロイス氏は日本でもベストセラーになった書籍『7つの習慣』のプログラムを著者のスティーブン・コビー氏とフランクリン・コヴィー社の共同創業者として全世界に向け展開を行っている。ロイス氏のこれまでのコンサルティング実績はリッツカールトン、トヨタなどの世界的な企業から個人に至るまで多数である。親日家でも知られるロイス氏に今後の世界における日本の位置付けと富裕層ビジネスのあり方について語って頂いた。(聞き手/小林昇太郎、撮影/蛭間勇介)

日本が再度活性化するために重視すべき戦略

――ロイスさんが今までどの様な経歴を経て来られたのか簡単に教えて頂けますでしょうか。

ロイス・クルーガー/1947年生まれ。米ユタ州出身、米ユタ州在住。人事トレーニング『7つの習慣』プログラムの導入先は全世界で数百社に渡り、フォーチュン調べのトップ500社のうち約350社を指導していた経験もある。ロイス氏の指導した人数は8万人を優に超える。なかでも「リーダーシップの原則」と「個人の生産性の向上と能力開発」のプロフェッショナルであり、トレーニングとコンサルティングの2つを得意としている。キャリアのほとんどは日本を含む諸外国の国際的業務に費やしており、その的確な指導力は世界中の経営者から絶大な信頼を得ている。

 ハワイのブリハムヤング大学で日本語とアジア史を専攻し、教育心理学を準専攻していました。そういった意味で、私は教えることがとても好きです。

 19歳のときに初来日してから、日本語は英語以外で初めて覚えた言語で、最初の第二外国語になりました。日本人も大好きですし、国としても伝統があり魅力的です。日本に滞在することが好きで、特に今の桜の時期は最高ですね。

 私は現在、日本がこの様な経済大国になっていることに全く驚いていません。それは日本人が質を大切にし、周りの人々への気配り、思いやりといった心を持っているからです。

――なるほど、では日本が今後更に力をつけ、もう一度活性化し、周辺国(中国、韓国など)と同様の発展をしていくためには、ロイスさんから見て何が必要だと思われますか?

 シンガポールやアメリカ、日本、ドイツ、イギリスなどの先進国はこれから知識やリーダーシップを持って戦略を構築していく必要があります。

 労働賃金の安さだけで戦うことは難しく、日本の本来持っている革新的で上質を求める技術や、リーダーシップは必要不可欠なものだと思います。

優秀な個人の育成が組織を変革する

――確かに多くの企業を見ていると、優秀な社員はいるのですが彼らの能力を最大限に活かせていないことも多く、そして企業規模が大きいほどその傾向が強いと感じます。更に「何かしたいという気持ちは持っているけれども何も出来ない」というわだかまりが、企業だけでなく日本社会全体に蔓延しているのではないでしょうか。この様な状況で、どうしたら個人の想いを実現し、充実した生活を送ることができる社会に変革できるのでしょうか?