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モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

東京モーターショーで見えたクルマの近未来と「3つの課題」

佃 義夫 [佃モビリティ総研代表]
【第17回】 2015年11月6日
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単なるクルマの祭典から
クルマの近未来を語るイベントへ

東京モーターショーが開催されている。会場を訪れて感じることは、単なるクルマの祭典というより、クルマの近未来を語るイベントへ脱皮したということだ

 2年に1回の東京モーターショーが、11月8日まで東京・有明の東京ビッグサイトで開催されている。連載第17回で東京モーターショーが1つの転機を迎えていることに触れたが、どうも今回の東京モーターショーを見ると、単なるクルマの祭典というより、クルマの近未来を語るイベントに脱皮したという観を強くした。

 その主役は、環境対応を目指す燃料電池車を含む電動車両であり、安全対応を目指す自動運転車であり、渋滞対応を目指すコネクテッドカーである。それがいずれも未来車でなく、2020年、あるいは2020年代という、もうすぐ手の届く近未来を志向するものだということである。

 もちろん、自動車の環境対応や安全対応への技術進化は著しく、自動車メーカーだけでなく、大手部品サプライヤーやIT企業、あるいは人工知能(AI)を手がける企業なども相まって、クルマのハード面プラスソフト面の技術競争は激しい。一方で、これに連動するインフラ整備や国の法整備には課題がある。

 日本では、安倍政権による成長戦略と来たる2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、官民挙げてモビリティ社会の方向性を示そうという戦略的な面も見える。

 いずれにせよ、東京モーターショーに先立つ独フランクフルトモーターショーの開催中に起きた、主催国の盟主・フォルクスワーゲンのディーゼル車不正問題に対して、日本車産業が世界をリードする環境・エネルギー、安全対応への技術力において主導的役割を果たしていることを、この東京モーターショーでは改めて感じさせられた。

 20世紀は「自動車の世紀」と言われた。自動車は快適で便利な移動手段であり、かつ物流面でもトラック(商用車)がきめ細かな配送で大きな存在感を示すようになった。それがこの21世紀においても、移動手段として変わらぬ位置づけを示し、サスティナブル・モビリティ(持続可能な多様な移動体)を形成していくためには、3つのハードルをクリアしていかねばならないとされる。

 環境・エネルギー、安全、渋滞――これが自動車に課せられた3つの社会的課題である。移動手段として便利で快適な自動車だが、負の側面も併せ持つ。安全は「命題」であったし、環境は地球温暖化対策として避けて通れない問題だ。かつエネルギーは、いずれ訪れる化石燃料枯渇化への対応であり、渋滞対応は道路整備とも関係し、通信機能との連動で効果が生まれる。

 今回の東京モーターショーで、これらのハードルを越えるクルマの近未来が明確に見えたのである。

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佃 義夫[佃モビリティ総研代表]

つくだ・よしお/1970年、創刊86周年(2014年2月時点)の歴史を持つ自動車産業日刊専門紙『日刊自動車新聞社』入社、編集局に配属。自動車販売(新車・中古車)・整備担当を皮切りに、部品・物流分野を広域において担当した後、国土交通省・経済産業省など管轄官庁記者クラブ、経団連記者クラブ(自工会分室)と、自動車産業を総合的に網羅し、専任担当記者としてのキャリアを積む。その後、該当編集局内における各分野のデスク・論説担当編集局次長を経て、出版局長として自動車産業オピニオン誌『Mobi21』を創刊。以降、取締役編集局長・常務・専務・代表取締役社長を歴任。45年間の社歴全域で編集・出版全体を担当、同社の「主筆」も務める。日刊自動車新聞社を退任後、2014年に「佃モビリティ総研」を立ち上げ、同総研代表となる。


モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

「自動車」から「モビリティ」の時代へ――。クルマ業界が変貌を遂げつつあるなか、しのぎを削る自動車各社。足もとで好調を続けるクルマ業界の将来性と課題とは、何だろうか。日本の自動車産業・クルマ社会をウオッチしてきた佃義夫が、これまでの経験を踏まえ、業界の今後の方向・日本のクルマ社会の行方・文化のありかたなどについて、幅広く掘り下げ提言していく。

「モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫」

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