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ギリシャ危機で“リーマンショック”が再来?
EUを追い詰める「連鎖デフォルト」の可能性

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第125回】 2010年5月18日
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 ギリシャ問題の拡大をきっかけに、世界の金融市場が大きく揺れている。人口約1100万人、GDPの規模は約30兆円と、わが国の10分の1にも満たないギリシャの財政悪化が、いまやEUの命運を握り、さらには「“第二のリーマンショック”につながりかねない」と言われるほどの大問題に発展している。

  今回は、このギリシャ・ショックが中長期的に世界に与える影響を考察してみよう。

各国やIMFのなりふり構わぬ救済策で
「デフォルト連鎖」は回避できるのか?

 今回の騒動の背景には、2つの大きな問題がある。1つは、同一通貨であるユーロの本源的な欠陥だ。ユーロ圏に属する16ヵ国は、それぞれ生産性や物価の変動率、経済の規模や構造が大きく異なっている。

 それにもかかわらず、単一通貨であるユーロを使い、ECB(欧州中央銀行)が決める単一の政策金利によって経済運営を行なっている。そこには、もともと大きな無理がある。

 もう1つは、バブルの後始末が「財政悪化」という格好で露呈したことだ。世界的な不動産バブルの後始末はまだ終わっていない。後始末は、結果的に民間部門の負債を政府が肩代わりする格好になる。

 それは世界的な現象なのだが、ギリシャのように経済基盤の弱い国は、財政破綻の懸念が現実味を帯びることになる。程度の差はあれ、ギリシャ同様に財政悪化が深刻化しているPIIGS諸国(ポルトガル、イタリア、アイスランド、スペイン)がよい例だ。

 問題は、ギリシャやポルトガルなどの「デフォルト連鎖」の懸念を抱えて、ユーロがその重みに耐えられるか、そして世界経済がこの難局を切り抜けることができるか否かだ。

 短期的には、主要国やIMF(国際通貨基金)のなりふり構わぬ対応策によって、一時の混乱は収束できると見る。直近では、金融市場も落ち着きを取り戻しつつある。しかし、そうした対応策だけで、財政悪化に苦しむギリシャなどが抱える問題が解決できるわけではない。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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