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社内プレゼンの資料作成術
【第23回】 2015年11月30日
著者・コラム紹介バックナンバー
前田鎌利

孫正義氏が「一発OK」を連発した社内プレゼン術
一瞬で理解できるスライドにする「逆L字の法則」

社内プレゼンはビジネスパーソン必須のスキル。ところが、多くの人が苦手ではないでしょうか?何度も却下されたり、差し戻しにあったり……。そこで、ソフトバンクで孫正義氏から「一発OK」を何度も勝ち取った著者が、秘伝のノウハウを詰め込んだ『社内プレゼンの資料作成術』を発刊。大きな反響を呼んでいます。この連載では、本書から、シンプルな資料で100%の説得力を生む、「超」実践的なノウハウをピックアップしてお伝えします。

グラフとメッセージを「縦」に並べない

 グラフとメッセージをどのように配置するか?
 これも、わかりやすいスライドをつくるうえで重要なポイントです。よく見かけるのが、下の図版のように、グラフとメッセージを縦に並べるスタイルです。グラフをより大きく見せる意図があるのだと思うのですが、実は、この配置は見る人に優しくありません。

 というのは、人間の脳は、右脳はビジュアル、左脳は文字情報などの論理を理解することに特化しているからです。つまり、ビジュアルと文字情報を「上下」=「縦」に配置するよりも、「左右」=「横」に配置したほうが、両方の情報を脳内でスムースに処理できるのです。

 では、グラフとキーメッセージを左右のどちらに振り分けたほうがよいのでしょうか?

 答えは、「グラフ=左」「キーメッセージ=右」です。なぜなら、左目から入る情報は右脳へ、右目から入る情報は左脳へとつながっているからです(下図参照)。グラフを左に配置することで、ビジュアル処理が得意な右脳に届き、キーメッセージを右に配置することで、文字情報の処理が得意な左脳に届くことによって、脳は両者を瞬時に把握できるというわけです。

 これは、実際に見比べてみると実感できます。下の2つのスライドのどちらが頭にスッと入ってくるでしょうか? グラフを「左」、キーメッセージを「右」に配置したパターンであるはずです。

「逆L字」で目線を誘導する

 さらに、このスライドを見やすくするポイントがあります。
 ここで覚えていただきたいのは、「逆L字の法則」です。

本連載第17回で「Zの法則」をご紹介しました。何かを目にしたとき、その全体を把握するために、人の目はZの形で動くという法則でした。実は、この「Z」よりさらにスピーディに全体を把握するのが、「逆L字」なのです。

 そこで、上のスライドをさらにブラッシュアップしたのが、このスライドです。変更したのはキーメッセージです。「来客数減少のため要対策」を「来客数減」と「要対策」の2つに分解し、両者の因果関係を三角形のマークで示しているわけです。

 まず、キーメッセージを2つに分割することで、文字数が減るため、さらに認識されやすくなります。しかも、「グラフ」→「キーメッセージ(1)」→「キーメッセージ(2)」と「逆L字」で視線を誘導できるため、非常に理解しやすくなります。このスライドで最も訴えたいことは「要対策」というメッセージです。それが、「逆L字」の最短距離で決裁者の頭にインプットされるというわけです。

 なお、一点ご注意いただきたいことがあります。
 それは、キーメッセージをつなぐマークに矢印(↓)を使わない、ということです。というのは、「↓」を使うと、なんとなく「増減」を示しているように見えて、誤解を招きかねないからです(下図参照)。

 だから、こういうときには必ず三角形のマークを使用するようにしてください。このマークを使えば、「増減」を示していると誤解されることがないばかりか、「つまり」「なぜなら」「だから」など論理の因果関係を示していることが明確になるからです。

 また、このマークはグレーなどを使用し、カラーは使用しないようにしてください。青や赤のカラーを使えば、ポジティブな印象やネガティブな印象を与えて、ミスリードしてしまうおそれがあるからです。

「逆L字」をアニメーションで展開する

 私は、社内プレゼンのスライドで、アニメーション機能を使うことは基本的に避けるべきだと考えています。

 あまりアニメーションが頻発すると、かえって決裁者の集中力を削ぐのがオチですし、「もう1回、3ページのスライドを見せて」と指示されて、そのページを表示すると再びアニメーションが再生されるのは鬱陶しいだけです。できるだけ余計なことをせず、シンプルにスライドをつくるのが社内プレゼンでは重要なのです。

 とはいえ、伝えたいことのロジックを視覚的に印象づけるためには、アニメーションが有効なこともあります。そのひとつが、「逆L字」誘導のためのアニメーションです。

 下図のように、まず「グラフ」だけを表示しながら、グラフの要点を口頭で伝えます。決裁者の目にはグラフしか見えませんから、その理解だけに集中してもらえます。

 そのうえで、「最近、来客数が急激に減少しています」などと、グラフが意味することを口頭で伝えながら、「キーメッセージ(1)」(来客数減少)を表示。さらに、「これは深刻な問題ですから、至急、対応策を講ずる必要があります」などと言いながら、「キーメッセージ(2)」(要対策)をスライドに表示するわけです。

 このようにアニメーションを施せば、決裁者には非常に理解しやすいプレゼンになるでしょう。

 ですから、私は、社内プレゼンではほとんどアニメーションは使いませんでしたが、このようなスライドだけはアニメーションを使うようにしていました。論理の誘導にはアニメーションが有効。これは、覚えておいてほしいポイントです。

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前田鎌利 

まえだ・かまり 1973年福井県生まれ。東京学芸大学卒業後、光通信に就職。2000年にジェイフォンに転職して以降、ボーダフォン、ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)と17年にわたり移動体通信事業に従事。2010年に孫正義社長(現会長)の後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1期生に選考され第1位を獲得。孫正義社長に直接プレゼンして幾多の事業提案を承認されたほか、孫社長のプレゼン資料づくりも数多く担当した。その後、ソフトバンク子会社の社外取締役や、ソフトバンク社内認定講師(プレゼンテーション)として活躍。著者のプレゼンテーション術を実施した部署で、決裁スピードが1.5~2倍になることが実証された。2013年12月にソフトバンクを退社、独立。ソフトバンク、ヤフー、株式会社ベネッセコーポレーション、大手鉄道会社などのプレゼンテーション講師を歴任するほか、全国でプレゼンテーション・スクールを展開している。


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