ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
社内プレゼンの資料作成術
【第24回】 2015年12月7日
著者・コラム紹介バックナンバー
前田鎌利

孫正義氏が「一発OK」を連発した社内プレゼン術
10秒でわかる「シンプル・グラフ」の作り方

社内プレゼンはビジネスパーソン必須のスキル。ところが、多くの人が苦手ではないでしょうか?何度も却下されたり、差し戻しにあったり……。そこで、ソフトバンクで孫正義氏から「一発OK」を何度も勝ち取った著者が、秘伝のノウハウを詰め込んだ『社内プレゼンの資料作成術』を発刊。大きな反響を呼んでいます。この連載では、本書から、シンプルな資料で100%の説得力を生む、「超」実践的なノウハウをピックアップしてお伝えします。

グラフは「見せたいたいもの」だけ見せる

 伝えたいことが端的に伝わるように、徹底的に編集する――。
 これが、グラフ作成のポイントです。

 そのためには、「見せたいものだけ見せる」というスタンスをもたなければなりません。
 資料のつくり手としては、すべての数字を律儀に見せることで安心できるかもしれませんが、その結果、ゴチャゴチャといろんな数字が書き込まれたグラフになれば、それを見せられた決裁者にとっては「よくわからないグラフ」になってしまいます。

 しかも、多くの決裁者は数字に敏感です。見せられた数字のすべてについて、「本当だろうか?」「なぜ、こういう数字になるんだ?」と確認したがる傾向があるのです。

 そのため、余計な数字をグラフに書き込むことによって、プレゼンの本筋とは関係のない部分についてツッコミを受け、それに応えるだけで時間がとられてしまうという結果になりがちです。もしも、ツッコミに適切に応えられなければ、それだけで、「信用できないプレゼン」というレッテルを貼られてしまう恐れもあります。

 だから、プレゼンの本筋とは関係のない要素はすべてカットするのが正解です。そして、伝えたい部分を強調するなどして、あなたが意図する内容がストレートに伝わるように工夫する。つまり、「見せたいものだけ見せる」のが、グラフ編集のコツなのです。

意味が通るギリギリまでカットする

 では、具体的にどうすればいいか?
 早速、実際に「わかりにくいグラフ」を「わかりやすいグラフ」に編集してみましょう。まず、最も基本的なグラフである「棒グラフ」からご説明します。

【図1】をご覧ください。これは、ある出版社の月例報告会議で、書籍の売上が前月比約2倍に伸びており、非常に好調であることを示すスライドです。

●図1

 私ならば、これを【図2】のように編集します。改善点は次のとおりです。

●図2

(1)余計なデータはカット
 まず、【図1】では4ヵ月分の売上推移を掲載していますが、月例報告会議なのですから、6~7月の2ヵ月分の推移を示せば足ります。4~5月のデータは本編スライドではカットして、アペンディックスに格納すればOK。

 もちろん、会社によっては、「過去数ヵ月分や数年分のデータを見せる」というルールがあることもありますので、その場合は、そのルールに従ってください。ただ、本来は、プレゼンの趣旨から不要と考えられる要素はすべてカットするのが原則です。

(2)桁数をわかりやすくする
 桁数も変更しました。【図1】では、「250千円」「500千円」と「千円単位」の表記になっていますが、一般的には読み取りづらい単位表記です。「万円」単位にしたほうが、一目で数字を読み取ることができるでしょう。

 プレゼン資料で使用する単位・桁数は、あなたの会社が普段使っていて、決裁者も見慣れているものに書き直すように心がけてください。特に、官庁などのホームページから元グラフを引っ張ってきた場合には、桁数が一般的でないケースが見受けられますから、要注意です。

(3)罫線・単位をカット
【図1】では、「250千円」「500千円」と250千円刻みで4本の目盛りの罫線が入っていますが、煩わしいので取ります。6月売上「53万円」が7月には「96万円」に激増していることが、ビジュアルで伝われば十分なので、わざわざ罫線を入れる必要はありません。

 また、単位の刻みも「50万円」「100万円」の2つに簡略化しました。単位の数字表記が多いと、それだけでグラフが複雑に見えますから、できるだけ簡略化するようにしてください。このように「目盛り」「罫線」「単位」などは、意味がとおるギリギリまでカットしてしまってOKです。

矢印を使って「増減」を印象づける

(4)グラフは「半分の高さ」で差が明確になる
 ここからは、数字の増減をより効果的に見せるテクニックをご紹介します。
【図2】をよくご覧ください。6月売上「53万円」の棒グラフの上辺の位置が、グラフの上下の長さのちょうど半分くらいの位置にあるのがわかるでしょうか? 私は、これを意図して「半分の高さ」に置きました。数字が増えていることを印象づけるには、増加の出発点となる棒グラフの位置を「半分の高さ」にすると、より効果的だからです。

【図3】をご覧ください。左は「半分の高さ」から増加が始まります。右は最も減少したところが「半分の高さ」になっています。こうすることで、増減がより明確に伝わるのです。印象操作と言われるかもしれませんが、それは当たりません。なぜなら、グラフの示す数値にはウソ偽りがないからです。伝えたいことをよりよく伝えるためには、むしろ、こうした編集力こそが重要となるのです。

●図3

 なお、このテクニックは、グラフをスライドの左半分のスペースにコンパクトに配置することとワンセットです。【図4】を見ればわかるように、グラフをスライドの左右いっぱいを使って表示すると、増減を際立たせる効果はほとんど感じられなくなってしまうからです。

●図4

(5)矢印で「増減」を印象づける
 また、【図5】のように太い矢印を付け加えることで、「増減」を強く印象づけます。増加の場合は「青」、減少の場合は「赤」でカラーリング。さらに、7月売上の「96万円」を6月売上の「53万円」より大きなフォントを使うことで、増加をより一層強く印象付けることができます(図2参照)。

●図5

 棒グラフに関しては、ここでご紹介した手順で編集を加えれば、格段にわかりやすいグラフに仕上げることができます。慣れれば、複雑なグラフもあっという間に編集できるようになるでしょう。

スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
自分の時間を取り戻そう

自分の時間を取り戻そう

ちきりん 著

定価(税込):本体1,500円+税   発行年月:2016年11月

<内容紹介>
生産性は、論理的思考と同じように、単なるスキルに止まらず価値観や判断軸ともなる重要なもの。しかし日本のホワイトカラー業務では無視され続け、それが意味のない長時間労働と日本経済低迷の一因となっています。そうした状況を打開するため、超人気ブロガーが生産性の重要性と上げ方を多数の事例とともに解説します。

本を購入する
著者セミナー・予定
(POSデータ調べ、11/20~11/26)


注目のトピックスPR


前田鎌利 

まえだ・かまり 1973年福井県生まれ。東京学芸大学卒業後、光通信に就職。2000年にジェイフォンに転職して以降、ボーダフォン、ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)と17年にわたり移動体通信事業に従事。2010年に孫正義社長(現会長)の後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1期生に選考され第1位を獲得。孫正義社長に直接プレゼンして幾多の事業提案を承認されたほか、孫社長のプレゼン資料づくりも数多く担当した。その後、ソフトバンク子会社の社外取締役や、ソフトバンク社内認定講師(プレゼンテーション)として活躍。著者のプレゼンテーション術を実施した部署で、決裁スピードが1.5~2倍になることが実証された。2013年12月にソフトバンクを退社、独立。ソフトバンク、ヤフー、株式会社ベネッセコーポレーション、大手鉄道会社などのプレゼンテーション講師を歴任するほか、全国でプレゼンテーション・スクールを展開している。


社内プレゼンの資料作成術

社内プレゼンはビジネスパーソン必須のスキル。ところが、多くの人が苦手ではないでしょうか?何度も却下されたり、差し戻しにあったり……。そこで、ソフトバンクで孫正義氏から「一発OK」を何度も勝ち取った著者が、秘伝の「社内プレゼンの資料作成術」を全公開。シンプルな資料で100%の説得力を生む、「超」実践的なノウハウをお伝えします!

「社内プレゼンの資料作成術」

⇒バックナンバー一覧