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金融市場異論百出

正常化して初めて評価される
バーナンキの「行動する勇気」

加藤 出 [東短リサーチ代表取締役社長]
2015年11月20日
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米国の書店に並ぶ、ベン・バーナンキ前FRB議長の著書『行動する勇気』。サイン本のサインはちゃんと手書きだった Photo by Izuru Kato

『行動する勇気』。これはベン・バーナンキ前米連邦準備制度理事会(FRB)議長が、米国で10月に出版した自伝のタイトルだ。出張時に駅の売店で見掛けたのだが、600ページ近い分厚いこの本の価格は35ドル(約4300円)だった。

 重くて高いので買うべきか迷ったものの、著者のサインが入っていた。複数冊見比べたが、ちゃんと手書きだった。結局つられて購入してしまったが、読んでみると興味深い逸話、裏話が多々記載されていて結構引き込まれた。

 主に金融危機勃発以降の、バーナンキ氏の“武勇伝”に焦点が当たっている。彼は「行動する勇気」でもって大胆な金融緩和策を実行し続けた。ただし、これに関しては米国内でも賛否両論がある。

 危機発生後の資金供給策は確かに迅速だったが、「そもそもバブルの膨張に無警戒だった彼の責任はどうなるのか」「リーマン・ブラザーズの破綻を食い止めるために、『行動する勇気』でもって、彼は米政府・議会に対してもっと働き掛けるべきではなかったか」といった見解も市場やメディア関係者から聞こえてくる。

 FRBは資産を急膨張させながら、世界にマネーをばらまいた。そこからの正常化策が成功して初めて歴史は、彼の政策は適切だったと評価することになる。バーナンキ氏は量的緩和策第3弾の縮小に2013年12月に着手し、翌年1月末に退任した。ただし、それは車の運転でいえば、床まで踏みつけていたアクセルを踏む力を少し緩めたようなものである。ブレーキ(利上げやFRBの資産縮小)を踏むには至らなかった。

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