ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
週刊ダイヤモンドで読む 逆引き日本経済史

7500億ユーロの大規模支援でも解決しない!?
ギリシャ発ユーロ危機が起きた本当の理由

坪井賢一 [ダイヤモンド社論説委員]
【第1回】 2010年5月21日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

大正時代から現代まで、その時代の経済事象をつぶさに追ってきた『週刊ダイヤモンド』。創刊約100年となるそのバックナンバーでは、日本経済の現代史が語られているといってもいい。本コラムでは、100年間の『週刊ダイヤモンド』を紐解きながら、歴史を逆引きするのがテーマだ。初回となる今回は「ギリシャ危機がなぜ起きたのか」、その歴史を逆引きしていく。(坪井賢一)

ギリシャ危機からユーロ暴落へ
EU支援でもおさまらない市場の動揺

 2009年10月に明らかになったギリシャの財政危機に端を発するユーロの動揺は、2010年5月第1週に世界金融市場を大きく揺さぶった。ユーロは暴落し、超円高となり、世界の株式市場は連鎖的に大きく下がったのである。

 5月9日日曜、市場に促されて欧州連合(EU)は27か国による緊急財務相理事会を開き、ユーロ圏で危機に陥った国を支援するための緊急融資枠を設定した。IMFの2500億ユーロを含めて最大7500億ユーロ(約85兆円)の支援策を明らかにし、市場の動揺を沈静化しようとしたのである。予想より対策の規模が大きく、市場はいったん好感して激しい動揺はおさまったのだが、その後もユーロ不安は断続的に続き、動揺は繰り返されている。

 この対策の当面の対象はギリシャだが、波及する恐れのあるポルトガル、スペイン、アイルランドなどをにらんだものである。

 しかし、この大規模な融資枠設定でも根本的な解決はまだ先の話だ。リーマン・ショック(2008年9月)によってEUの不動産バブルも崩壊し、とくにポルトガル、スペイン、イギリスなどの傷が深い。イギリスは総選挙で労働党が破れ、保守党と自民党の連立政権が成立した。

IMFが本来“無関係”の
「ギリシャ財政危機」を救った理由

 ユーロ圏の危機には2種類ある。1つはギリシャのような財政危機、もう1つは不動産バブル崩壊による金融危機だ。じつは、通常IMFが乗り出すのは金融危機で、国際収支のマイナスをファイナンスすることがミッションである。

 ギリシャの場合は完全に財政危機であり、IMFは本来、無関係なのだ。しかし、ギリシャ企業に融資したり、ギリシャの短期国債を購入している金融機関はドイツ、フランスをはじめ、EU内にいくらでもある。ギリシャ危機が深まればあっというまに金融危機が連鎖し、ユーロが崩壊してしまうのだから、IMFが乗り出すのは正しいことである。

1
nextpage

今週の週刊ダイヤモンド

2017年2月25日号 定価710円(税込)

特集 弁護士・裁判官・検察官 司法エリートの没落

知られざる法曹界の真実

【特集2】
サントリーと創業家
グローバル化への試練

【下記のサイトからご購入いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

【下記のサイトからご購入いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

【下記のサイトからご購読いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

坪井賢一 [ダイヤモンド社論説委員]

1954年生まれ。78年早稲田大学政治経済学部卒業後、ダイヤモンド社入社。「週刊ダイヤモンド」編集長などを経て現職。著書に『複雑系の選択』『めちゃくちゃわかるよ!経済学』(ダイヤモンド社)『浦安図書館を支える人びと』(日本図書館協会)など。


週刊ダイヤモンドで読む 逆引き日本経済史

大正時代から現代まで、その時代の経済事象をつぶさに追ってきた『週刊ダイヤモンド』。創刊約100年となるそのバックナンバーでは、日本経済の現代史が語られているといってもいい。本コラムでは、100年間の『週刊ダイヤモンド』を紐解きながら、歴史を逆引きしていく。

「週刊ダイヤモンドで読む 逆引き日本経済史」

⇒バックナンバー一覧