「女子高生社長」として有名な椎木里佳さん。パパは「鷹の爪」で有名なコンテンツ会社「ディー・エル・イー」の椎木隆太社長です。
里佳さんが、上場企業の社長であるパパに経営について学びます。大反響をいただいているこの企画、今回はネット上の批判や炎上について語ります。何気ない会話から「アナログ世代」と「デジタル世代」のメンタルの差が浮き彫りになりました。
(取材・構成:佐藤智、竹村俊介、撮影:宇佐見利明)
【これまでの連載】
【第1回】「起業って、学校では教えてくれない大切なことが学べるんだね!」
【第2回】「パパを見てて『すごい楽しそうだなあ』って思ったんだ」
ネット時代に必要な「鈍感さ」
パパ 里佳はネットでの批判もうまく受け流して、たくましくやってるよね?
里佳 いちいち考えてたら大変だしね。
パパ 「デジタルネイティブ」の強みってそういうところだね。ネットでの批判をかわしたり、あえて鈍感であったり、目立ちつつも本当に火の粉が降りかからないようにするスキル。
里佳 パパ、けっこう凹んでるもんね。
パパ やっぱ悪いこと言われると、そりゃ凹むよ。クリエイターだって、やっぱり「作品を否定される、イコール、人格否定」だと思っちゃうしね。作品の反応は、読まないようにしようと思っても、つい見ちゃって。で、傷ついて、ウワーッってね。
里佳 そういうのを通じて、強くなるんじゃん?
パパ でも、意外とそれだけで自信がなくなったりとか、一歩が出なくなっちゃうとか、ああいうのってそれなりにボディブローのように効いてくるんだよ。だから、里佳もいろいろ目立つ中で批判を受けて、クリエイターみたいに自信喪失とかしたら嫌だなーなんて思ってはいたんだけど……けっこう元気だよね?
里佳 果敢にブロック! 嫌なこと書く人はシャットアウト。そういう人はそういう人でしょうがないんだよ。
パパ いやあ、それこそがデジタル時代のメンタリティだよね。パパみたいなデジタル前の世代だと一日考えちゃう。「そうかな、俺、ダメかな」みたいな。
里佳 「2ちゃん」で私のスレとか見て落ち込んでるよね、なぜか。いや、私じゃん、落ち込むべきなのは、みたいな。
パパ やっぱ言葉に重み感じちゃうんだよ。でも、デジタル世代はもっとしなやかに。「だって知らない人でしょう?」みたいな感じでしょ?
里佳 でも最初は気にしたよ、けっこう。起業した当初に、ちょうどブログとツイッターを始めて。それで「始めました、よろしくお願いします!」みたいなことを書いたら、すぐ2ちゃんで炎上だよ。「中学三年生で起業して」「こんな生意気なツラ下げて」「パパ親が鷹の爪の社長で」みたいな、つつく要素がたくさんあったんだろうね。
フォロワーをいちばん増やす方法が「炎上」です
パパ 最初は凹んだんだ。
里佳 「半年で潰れる」とかいろいろ書かれた。そのときはめちゃくちゃへこんだんだけど。でも、あまりに量が多くなってきたというのもあるし、慣れたっていうのもあるし。あと、けっこう、泳がせると、すごくいいなと思い始めて。
パパ 泳がせる?
里佳 泳がせるっていうか、炎上させておくという。
私の個人的経験に基づく感想だけど、ツイッターのフォロワーがいちばん増えるのって、テレビでもなく、新聞でもなく、ネットの炎上なんだよね。フォロワー数が増えると発信力が増す。私にとって、経営者として発信力を増やすことはすごく重要で。だから、泳がせるだけ泳がせておいて、知名度・発信力をバンバン増やす。だから朝、わざと2ちゃんをリツイートしたりするからね。
パパ 開き直って。
里佳 うん。
まあ、悪いこと書く人は実はあまり深く考えずに軽く書いてるから、こっちも重く受け止めなくてもいいんじゃないかなーって。
パパ 言葉の感覚って、ちょっと変わってきているのかもしれないね。パパ世代だと、テキストコンテンツってプロが書くもので、すごく「重いもの」だった。今はその割合が逆転してるよね。昔は「プロ:素人が99:1」で、今はたぶんプロが1で、世の中に出回っているTwitterやFacebook上の文章って、ほとんど素人が書いているわけじゃない?
だからそのテキストの重さというか、信頼度とか、言葉の重要さって、もしかしてだんだん感覚で軽くなっているのかもしれないね。
里佳 そうかも。まわりの友達とかもずっとスマホで何か書いてるし。
パパ 若者にとっては何かを書いて表現するのが、もしかしたら友達と会話する以上に自然なことになってきてるのかもしれないね。
(続く)
この対談を特別編集し、「起業と経営の基本ノウハウ」を詰め込んだ椎木里佳さん・隆太パパ初の著書『女子高生社長、経営を学ぶ。』がダイヤモンド社より来春発売予定! 乞うご期待!