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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

法人税を減税しても企業は内部留保を増やすだけ

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第41回】 2015年12月10日
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企業が内部留保を溜め込み設備投資に回さないのはなぜなのか

 法人企業統計とGDP統計で、7~9月期の設備投資額が増加を示した。これは日本経済の回復を示しているのだろうか? 以下では、そうではないことを論じる。

 売上が伸びないため、設備投資は基本的に更新投資にとどまっており、資本ストックは増加していない。法人税を減税しても、企業の内部留保が増えるだけのことだ。

GDP成長率に影響するのは
設備投資より消費支出

 法人企業統計によれば、2015年7~9月期の設備投資は、全産業で11.2%という高い伸びを示した。GDP統計の実質民間設備投資に近い概念である「ソフトウェアを除く設備投資の季節調整済み実質値」を見ると、対前期比は、5.4%という高い値だ(製造業が7.6%、非製造業が4.3%)。

 GDP統計では、7~9月期の2次速報値の実質民間企業設備の対前期比(季節調整済み、年率)は2.3%増となった。

 ただし、GDPの成長率がプラスになるかマイナスになるかは、消費の伸びによって大きく影響されることに注意が必要だ。仮に設備投資の値が変わらなかったとしても、消費支出の額がほんの少し増加すれば、GDPの成長率はプラスになるのである。中期的な観点から見て、経済成長に重要な意味を持つのは、設備投資というよりは、消費支出である。

 また、GDP成長率がこのようにマイナスになったりプラスになったりするのは、そもそも成長率がゼロに近いからだ。そして、その原因は消費支出の伸びが高まらないことである。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

アメリカが金融緩和を終了し、日欧は金融緩和を進める。こうした逆方向の金融政策が、いつまで続くのだろうか? それは何をもたらすか? その先にある新しい経済秩序はどのようなものか? 円安がさらに進むと、所得分配の歪みはさらに拡大することにならないか? 他方で、日本の産業構造の改革は遅々として進まない。新しい経済秩序を実現するには、何が必要か?

「野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて」

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