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山崎元のマネー経済の歩き方

強い理論、弱い理論

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第132回】 2010年6月14日
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 筆者は今年の4月から獨協大学で「金融資産運用論」という授業を行っている。学部生(2~4年生)を相手に、資産運用のあれこれを説明しているのだが、先日、いわゆるポートフォリオ理論の代表的な理論であるCAPM(資本資産価格モデル)を説明した。むろん、資産運用の説明ということになるとはずせない内容だ。

 CAPMはノーベル経済学賞を受賞したウィリアム・シャープらが考案した理論だが、市場に存在するすべてのリスク資産を時価総額のウエートで保有する「市場ポートフォリオ」がリスクとリターンの効率において最も効率的なポートフォリオであることと、個々のリスク資産の期待超過リターン(超過リターンとは安全資産のリターンを上回るリターンのこと)が市場ポートフォリオに対する感応度であるβ(ベータ)値に比例することが主な結論だ。

 この理論を説明しながら思ったのは、いささか僭越ながら、「途中までは正しいが、その先はインチキだな」ということだった。
もちろん、学界で認められている立派な理論なので、教科書に書いてある論理そのものに誤りがあるわけではない。問題は、仮定の現実性にある。

 CAPMの考え方で、これは正しいから、個人の資産運用にも取り込むべきだと思うのは、分散投資したポートフォリオを前提としてリスクを考えるべきことと、効率的なリスク資産のポートフォリオと安全資産の組み合わせでポートフォリオをつくればいいということの2点だ。この2点は、現実に当てはまるという意味で十分頑健な、いわば「強い理論」だ。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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12社を渡り歩いた資産運用の現場に一貫して携わってきた視点から、「資産運用」の方法をどう考えるべきか懇切丁寧に説く。投資家にもわかりやすい投資の考え方を伝授。

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