低迷する支持率挽回の目玉と期待された事業仕分け第2弾は菅直人内閣の意外な人気で雲散霧消。ムダな事業を延命させてきた“裏構造”にメスを入れられない政治ショーの実態に、事業仕分け第1弾にNPO幹事として参加した元仕分け人が迫る。(文/ジャーナリスト まさのあつこ)

 「事業規模を縮小し、事業の実施機関を競争的に決定すること」

 事業仕分けで、財団法人日本森林林業振興会(旧林野弘済会)に下された決定は、「事業廃止」に次ぐ厳しい内容だった。

 だが、その決定を聞いた農林水産省幹部は思わずほくそ笑み、あわてて口元を手で隠した。

 4月23日から5月25日まで4日ずつ2回に分けて行われた事業仕分け第2弾は、47の独立行政法人149事業、70の公益法人82事業が対象になった。傍聴とインターネット中継だけで延べ200万人が注視するなか、合計68事業が廃止され、最大で1400億円の“埋蔵金”が国庫に返済される。

 しかしムダな公益法人や事業が延命できる“裏構造”にメスを入れない限り、事業仕分けの努力は水泡に帰して、政治ショーと化す。

 冒頭の旧林野弘済会は、仕分け対象の林野庁の国有林野事業(収穫調査業務と素材検知業務)の受注法人として、財団法人日本森林技術協会とともに俎上に載せられた。

 この2法人はかつて公正取引委員会から独占禁止法違反を断罪、林野庁から「林業土木関連業務からの撤退または自主解散」を命じられた法人だ(下表参照)。

 だが、事業仕分けのメスが、旧林野弘済会を延命させてきた裏構造に入ることはなかった。

廃止・解散の実態は単なる看板掛け替え

 そこで、旧林野弘済会を例に、裏構造にメスを入れてみよう。

 そもそも同法人が公取から「排除措置」を受けたのは2001年。他業者と、林野庁の国有林野事業の落札者を事前に決めていた。

 ところが07年、独立行政法人旧緑資源機構(以下、緑資源)の発注業務でまたもや談合が発覚する。

 林野庁傘下の公益法人や関連企業が、業界団体の特定森林地域協議会と政治団体の特森懇談会を表裏一体で組織していたのだ。

 この政治団体は、林野庁から緑資源へと“渡り鳥”をした官僚OBが取り仕切り、談合関与の追及目前に自殺した松岡利勝氏など歴代農林水産大臣に政治献金していた。政官業癒着の要の役を官僚OBと公益法人が果たしていたのだ。