リアル空間だからこそ得られる付加価値を
いかに生み出すか

 一方、空間のユーザー(toC)に対しては、「リアル空間だからこそ得られる付加価値」を提供することが重要だと考えています。

 今はあらゆることがネットで済んでしまいますが、そこに行けば心地いいとか、エンジョイできるとか、知識や心が豊かになって帰ることができるといったものを提供することで、直接足を運んでいただける空間になります。こういった五感で価値を感じるようなリアルな空間は今後も求められていくと思います。

 こういったことを実現するために、調査・企画からデザイン・設計、制作・施工、運営まで空間づくりのあらゆる面をトータルにサポートできるのも我が社の強みです。また、グループ全体ではプランナー・デザイナー職が230名、制作職375人が在籍しており、お客さまとしっかり向き合い、多様な課題を解決できる人材や体制が整っています。

東京大学とコラボレーションし、明治10年の開学以来蓄積してきた学術標本や研究資料などの貴重な学術文化財を展示する「モバイルミュージアム」の一つ

―― 付加価値の提供という点でいうと、丹青社は東京大学の研究室とのコラボレーションでの空間づくりが注目されていますね。

青田 東京大学とはもう13年くらいのお付き合いになります。さまざまなコラボレーションを行なっていますが、取り組みの一つが、東京ドームシティ内の「宇宙ミュージアムTeNQ(テンキュー)」です。

 これは、宇宙をテーマにしたエンターテインメントミュージアムの中に東大の研究室の分室を開設し、来館者が最先端の宇宙科学研究風景を直に見られるというものです。単に宇宙空間を疑似体験するだけではなく、最先端の研究に触れることができる。エンターテインメントとアカデミズムを融合させた新しい空間づくりです。