欧州で起きつつある
ベーシックインカムのブーム
先月、フィンランドが今年からベーシックインカム(政府が国民に最低限の生活を送るのに必要な額の現金を支給する最低所得補償の制度)を導入し、540万の全国民に月額800ユーロ(約10万円)を支給するというニュースが流れました。
実際には、まず予備調査を行った上で、その結果を踏まえて今年11月までに最終決定が行なわれるようですが、本当に導入される場合は、現在フィンランド国民に提供されている様々な社会保障サービスが廃止され、このベーシックインカムに一本化されることになります。
ちなみに、一般的にベーシックインカムのメリットとしては以下の3つの点が言われています。
・所得が増えてもベーシックインカムの受給額は減少しないので、低所得者が頑張って所得を増やすと公的支援が減少してしまい貧困状態から抜け出せないという“貧困の罠”を避けることができる
・年金や生活保護などの社会保障支出をベーシックインカムに一元化することで、行政の無駄を削減できる
・ベーシックインカムで最低限の生活が保証されれば、企業年金など福利厚生の水準が低い非正規雇用の仕事にも就きやすくなるので、雇用情勢の改善に役立つ(実際、フィンランドの失業率は約10%と過去15年で最悪の水準にある)
このようなメリットがあるからこそ、欧州ではベーシックインカムがちょっとしたブームになってきた感があります。
実際、フィンランド以外でも、オランダ第4の都市ユトレヒトでは今年から試験的に導入することを決めています。また、ドイツのベルリンでは、2014年から民間人がクラウドファンディングを活用して、抽選で選ばれた人たちに月額1000ユーロを1年間与えるという“マイ・ベーシックインカム・プロジェクト”が行なわれています。更には、スイスではベーシックインカムの導入の可否について今年2月に国民投票が行なわれる予定です。