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株の“万里の長城”、中国サーキットブレーカーが4日で崩壊した理由

陳言 [在北京ジャーナリスト]
2016年1月14日
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 オーストリア=ハンガリー帝国生まれの作家フランツ・カフカは、生前未発表の古典『万里の長城』で、万里の長城の建設目的と理由を解き明かそうとした。カフカの目には、長城は誰の目からも見えるが、このような城砦(じょうさい)を建設した意義を明確に説明するのは大変難しいと映った。

 皇帝が北方部族の襲来を防ぐために建設を命じたという人もいる。しかし、カフカは中国の皇帝の意図は、奇想天外ではないと感じた。皇帝が命じる前に、関連した考え方がすでに存在していた。北方部族への備えというのは長城建設の本当の理由ではなく、正解は中国文化そのものから探し出さなければならない、と考えた。

 時は流れて、2016年1月に飛ぶ。中国証券監督管理委員会(証監会)は証券制度上の万里の長城を構築した。サーキットブレーカー制度である。この制度は「自動相場停止制度」とも呼ばれ、株の値動きが規定の限界点を越えた時、取引所はリスクをコントロールするために取引の一時停止措置を取ることを指している。しかし、残念なことに、この証券制度上の万里の長城は、北京郊外に2000年以上も聳え立っている燕の長城と違って、わずか4日で倒壊した。

秀才が構築した
サーキットブレーカー制度

 サーキットブレーカー制度の停止後、「財新ネット」の張楡記者は記事で、次のように書いた。「サーキットブレーカー制度には意見聴取の段階で、様々な意見が出ていた。業界は取引の持続性、変動性について憂慮を示したが、最終的に法案に十分盛り込まれず、この制度は懐妊半年、享年4日の短命政策に終わった」。

 昨年5月以降、中国の株価指数先物の1日当たりの振幅が次第に拡大し、「極端相場」が頻出し、サーキットブレーカー制度の導入を求める声が強まった。株価暴落後、市場改善の緊急システムとして、国際経験を参考にして、多くの専門家、学者が株取引サーキットブレーカー制度の導入を提起した。

 8月末になると、早い段階で取引所が上級監督層に提起していたサーキットブレーカー制度構築に関する報告が、何度も書き直されてから、最終的にトップレベルの決定を経て現行の規則が選択された。新華ネット、中国証券報等がこもごも同制度導入の必要性を論評した。

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陳言 [在北京ジャーナリスト]

1982年南京大学卒。『経済日報』に勤務してから、1989年に東京大学新聞研究所、慶応大学経済学研究科に留学、博士課程終了、萩国際大学教授。2003年に帰国。月刊『経済』主筆。2010年から日本企業(中国)研究院を設立、執行院長。ダイヤモンドオンライン、『週刊東洋経済』『アエラ』『中国経済週刊』『中国経営報』などのメディアに数多くの記事を掲載。2015年日本語日刊紙『速読中国』を創刊して編集長を兼任。


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世界第2位の経済大国になった中国は、依然として猛烈なスピードで変化している。一方、中国にはウェブ系も含めると、何千というメディアが存在し、情報が溢れかえっている。北京在住の経済ジャーナリスト・陳言氏が玉石混交の情報の中から、中国の対外関係、多国籍企業、技術革新、中国の経済政策など日本経済や日本企業に影響を及ぼす情報を選りすぐり解説する。そこからは日本のメディアが伝える中国とは、違った姿が見えてくる。

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