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佐高 信の「一人一話」

読者に対して姿勢を正す 無頼派伊集院静の覚悟

佐高 信 [評論家]
【第37回】 2016年1月18日
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 2015年の暮に東京は駿河台の山の上ホテルの玄関前でバッタリ伊集院静と会った。そのころ、政府に批判的なTBS「NEWS23」のアンカー、岸井成格を降ろそうという動きがあり、私は11月26日付の『日刊ゲンダイ』でこうコメントしていた。

 「安倍政権や、そのお仲間は全局を“安倍サマのテレビ”にしたいのでしょう。安保法案は国民の8割が、なぜ成立を急ぐのかと反対していた。岸井氏の発言は国民の声の代弁です。それなのに、政府に逆らうものはみなダメだと言わんばかり。それもひとりに対して、全面広告を使って、集団で吠えて弾圧しようとしているのは極めて異常なことです。こんな広告を出されて、何も言わなければ、テレビが死んでしまいますよ」

 これを読んだらしく、伊集院は、「サタカさんの言う通りだよな」と憤慨してくれた。

 伊集院が司馬遼太郎賞をもらった時には、司馬に批判的な私を意識して、「サタカさんに怒られることをしてしまった」と私が驚くようなことも言う。あれは確か、銀座のクラブ「姫」のママで作家の山口洋子のお別れ会の席で会った時である。

モテる男の代名詞

 そんな伊集院の『週刊文春』の連載「悩むが花」を私は愛読している。人生相談風エッセイだが、たとえば最新の1月14日号では、58歳の中小企業の社長が「経験豊富な」伊集院に若い女性の口説き方を尋ねる。

 それに対して伊集院は冗談まじりに答えた後で「最後に、こういう相談で、わしに対して経験豊富と言うのはやめてくれるか。わしにも家庭があるんだから」と答える。

 モテる男の代名詞のような伊集院と最初に会ったのは1992年の春だった。『京都新聞』の講演でである。私は当時47歳。5つ下の伊集院が42歳。その後まもなく、『サンサーラ』という雑誌の対談で再会したが、その対談のリードに私はこう書いている。

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佐高 信 [評論家]

さたか・まこと 1945年山形県酒田市生まれ。評論家、『週刊金曜日』編集委員。高校教師、経済雑誌の編集者を経て評論家に。「社畜」という言葉で日本の企業社会の病理を露わにし、会社・経営者批評で一つの分野を築く。経済評論にとどまらず、憲法、教育など現代日本のについて辛口の評論活動を続ける。著書に『保守の知恵』(岸井成格さんとの共著、毎日新聞社)、『飲水思源 メディアの仕掛人、徳間康快』(金曜日)など。


佐高 信の「一人一話」

歴史は人によってつくられる。ときに説明しがたい人間模様、ふとした人の心の機微が歴史を変える。経済、政治、法律、教育、文化と幅広い分野にわたって、評論活動を続けてきた佐高 信氏が、その交遊録から、歴史を彩った人々の知られざる一面に光をあてる。

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