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中国金融当局の無理解が世界の市場を混乱させる

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第411回】 2016年1月19日
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中国金融当局のドタバタ劇が
世界の市場に伝播した

中国の金融政策は今後も世界の波乱要因となりそうだ。写真は上海の金融街

 2016年年明けの世界の金融市場は、中国金融市場の乱高下をきっかけに大きく混乱した。その引き金を引いたのは、間違いなく、同国の金融行政のドタバタ劇だ。

 恐らく、今でも共産党政権は市場をコントロール可能と考えているのだろう。いざとなると、金融市場の無数の投資家の圧力の方が強い。共産党政権はそれを本当の意味で理解できていない。「力づくで、株式や為替などの金融市場を抑え込める」との過信が中国国内の株式市場を乱高下させ、それが世界の主要市場に伝播した。

 また、世界経済の低迷懸念を背景に、原油価格は1バーレル=30ドルに下落し世界経済の先行きに不透明感が高まった。それをきっかけに、大手投資家は保有するリスク量を軽減する=リスクオフの行動に出た。為替市場では、ドルが対円で117円台前半まで売り込まれた。年初以降、日経平均株価は6営業日続落し、8日には、雇用統計が予想を上回ったにもかかわらず、米国の株価は下落する一方、金利は低下した。これは典型的なリスクオフの現象だ。

 中国政府も、次第に強制的な相場管理のマイナス面を認識するようになるはずだ。しかし、同国が過剰な生産能力のリストラなどの構造改革を進めるためには、株式市場などの急落を防ぎ、一定の成長率を維持する必要がある。

 そのため、今後も積極的に株式や為替の市場に介入すると見られる。株式の売却制限などの措置は、投資家から売り場を奪う。先行きの流動性懸念などに圧され、中国株を投げ売りせざるを得ないヘッジファンドも出ている。そうした懸念の連鎖が中国の市場をさらに混乱させ、世界の金融市場を混乱させる可能性は高まっている。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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