新年を迎えて「今年こそは人生を変えたい」「夢を実現したい」と思う人は多い。しかし、一体どれだけの人がその実現に向け努力しているだろうか。現役の経営者で陽明学者の加地太祐氏は、「成功するためには、何より実践が大事」と説く。本連載では、そんな加地氏の初の著書成功する人の考え方』(ダイヤモンド社より1月16日に発売)の内容をベースに、これまでの人生を変えて、成功をたぐり寄せるためのポイントをお伝えしていく。人生は修行だという意味のことを言う経営者は多い。しかし、それでは辛いだけでがんばれないだろう。世の中には、知っておくべきもっといい理念や考え方がある。

全員がお坊さんではない

 日本人の価値観の中で人生は修行だという意味を話す人は多い。

 確かに僕自身も過去を振り返ってみると、修行のような辛い時期もあったし、それを乗り越えたからこそ、今こうして生きている。

 だけど、その価値観を他人に強要するのはどうかと思う。

 例えば、会社の社長が、
「人生は修行だ。だから今は苦しくても修行と思って頑張れ」
 なんて言われると困る。

 確かに社長の価値観で、今の時期は修行と考えるのはいいだろう。

 しかし、社員全員が修行僧と定義されては困る。なぜなら全員お坊さんではないからだ。

理念やスローガン

 全員がお坊さんのように修行できないのであれば、直面するピンチや目標にどのように向かえばいいのだろう。

  そんなときに理念やスローガン(標語)が重要になってくる。

 例えば、これから面接する会社の経営理念が、
「人生は修行であり、苦行である。この先に悟りがある」
 なんて書かれていたら、面接に応募しようとは思わないだろう。

 また、社長の願望をスローガンにして、
「社長に新しいベンツに乗ってもらおう!」
 だったら、社員のほとんどがやめてしまうかもしれない。

 では、どんな理念やスローガンにするのか。

 ここでは「天地自然の法則」という考え方が大切になってくる。

 まず天地自然の法則を社員に当てはめると、
「すべての人は自分が一番大切で、自分を大切にしてくれるところに集まる」
 となります。

 つまり、社員は自分のために、会社にいるのであって、基本的に誰かのために働いてはいません。

 だから、会社は社員の幸せを満たさなければ大きくなれないのです。

 ただ、社員の幸せはお金だけではありません。

 やはり、仲間との関係もそうですし、お客様から必要とされる喜びは、心の満足を得ることができるでしょう。

 理念やスローガンはそれらを含むすべての社員が本気で、なおかつ、キミ自身がこの理念のためならどんな困難でも苦ではないと思えるようなものでなければなりません。

理念が本気であれば工夫が生まれる

 僕は、30歳の頃、師に次のようなことを言われました。

「いくら方法論、手段を会話したところで意味はない。大切なのは理念という志だ。有効な手段を持ち合わせていても、志がなければ実践はされない。しかし、志が本物であれば、人間は手段を本気で探す。だから手段よりも志が大切なのだ」

 僕らが成功を決意すれば、必ず様々な壁が目の前に現れます。

 乗り越える方法は沢山ありますが、それらの方法を知っていても、自分に乗り越える気持ちがなければ、行動はしません。

 しかし、成功するという気持ちが本気であれば、乗り越える方法が解らなくても模索し、必ず、その方法を見つけることができるでしょう。

 人生は修行ではない。どんな命もすべて幸せになるために生まれてきているのです。

加地太祐(かじ・たいすけ)
1976年大阪生まれ。株式会社aim代表取締役。
阪南大学高等学校中退後、溶接工に。その後、サラリーマンになり英会話スクールに通うが、1年後の2004年に通っていた英会話スクールが倒産。当時の従業員に「給料を数ヵ月もらわぬままオーナーが失踪したので助けてください!」と生徒なのに相談される。月商18万円で家賃支払いが23万円と大赤字なのにもかかわらず、「可哀想だから」と400万円を借金して援助し、サラリーマンを続けながら思いがけずオーナー経営者になる。
しかし、3ヵ月で資金がなくなり、助けてと言った従業員も退職。その後、英会話スクールの経営を実弟にまかせるが、1年後に病死する。この人生のどん底のときに安定したサラリーマンを辞め、給料の出ない英会話スクール経営1本に絞る。その後、NOVAが倒産し英会話教師だった外国人失業者があふれた。彼らを黙って見過ごせないと、生徒が増えたわけでもないのに日払いで外国人を雇う。この行動が新聞に紹介され、それがもとで生徒数が飛躍的に増え、以後、順調に業績を伸ばす。
2015年2月6日、交通事故に合い5日間意識不明に。6日目に目覚めたとき、「このまま死んだら僕はこの世界に何も残していないことになる」と愕然とする。
それがきっかけで、スタッフや愛する娘たちに残せるのは「言葉しかないのだ」と悟り「成功する人の考え方」の連載をスタート。純粋に言葉の力を試すために名前をふせたままスタートするも幸運にも支持を得て開始8ヵ月で3万いいね!を突破。月間リーチ数250万人の人気ウェブサイトに成長する。年間1000人以上の経営者と対話し、会社経営を行う傍ら、1人でも多くの成功者を世に出したいと、日夜、記事の執筆に精力を注いでいる。山田方谷を学ぶ実践塾「方谷塾」塾頭、陽明学者。
所属団体 
・盛和塾<大阪> 世話人。稲盛和夫の経営者塾世話人
・EO Osaka<Entrepreneur Organization> 理事。アメリカに母体を持つ経営者団体。年商100万ドル以上の経営者が集まる団体
成功する人の考え方HP http://ekusia.com/
フェイスブックページ  https://www.facebook.com/seikousuru/
 

※次回は、1月21日(木)に掲載します。