ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
今月の音盤セレクション ビジネス・パーソンのための音楽案内

極寒の季節に歴史を創ったジャズの名盤

小栗勘太郎 [音楽愛好家]
【第12回】 2016年1月23日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage
極寒の季節にジャズの歴史を創る名盤が生まれている

 地球温暖化の時代と言われて久しい今日この頃です。が、やはり冬は寒く、凍てつく朝は辛いものです。とはいえ、冬の寒さがあればこそ、春に芽吹く花々は美しく咲き誇るのです。

 さて、ジャズの話です。19世紀から20世紀へと変わる頃、米国南部ニューオリンズでジャズは誕生しました。その担い手はかつて奴隷だった黒人たち。土着の響き、陽光が育んだリズム、西洋古典音楽が混じり合って生まれたハイブリッドな音楽です。南部の暖かい気候があればこそです。しかし、20世紀を通じて大いに発展したジャズを振り返る時、極寒の季節にジャズの歴史を創る名盤が生まれています。凍てつく冬の寒さが夏の開放的なエネルギーに満ちる音楽を鍛えに鍛えて、強靭な音楽を創り出しているのです。

 という訳で、1月に録音されたジャズの名盤3枚を厳選します。

音楽の殿堂カーネギー・ホールにジャズがやって来た

 ニューヨーク7番街57丁目のカーネギーホールは1891年に建設されました。こけら落としにはチャイコフスキーが特別賓客として来訪し「戴冠式祝典行進曲ニ長調」を指揮しました。ドボルザークの交響曲「新世界」もここが世界初演でした。カーネギーホールと言えば、ほぼ半世紀にわたってクラシック音楽の殿堂でした。

 ところが、1938年1月16日(日)夜、異変が起きます。史上初めて、カーネギーホールにおいてジャズの公演が行われたのです。その主役がベニー・グッドマン楽団です。

 稀代のクラリネット奏者にして作曲家、バンドリーダーであるグッドマンは、貧しいロシア系ユダヤ人の家庭に誕生します。幼少の頃から楽才を示し、11歳でプロの演奏家としてデビューします。

 長じて、ニューヨークに進出し、やがてグッドマン楽団を結成。彼の音楽の核心は、軽快にスウィングするリズムに乗って舞い上がる親しみやすい旋律です。堅固な基礎の上で繰り広げられるアンサンブルは極上の娯楽音楽です。そして、旋律が解体され簡潔な即興演奏が聴衆の興奮を誘います。そんな彼の音楽はラジオを通じて全米に広がり、支持を獲得していきます。当時の最先端の音楽だったのです。人々は敬意を込めてグッドマンを『キング・オブ・スウィング』と呼びました。

次のページ>> 21世紀最先端のジャズ
1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

小栗勘太郎 [音楽愛好家]

1958年生まれ、牡羊座のB型。某国立大学卒、米国滞在5年。公僕を生業とする音楽愛好家。著書は『音楽ダイアリーsideA』 『同sideB』(西日本新聞社)。『毎日フォーラム』誌にて「歴史の中の音楽」を連載中。


今月の音盤セレクション ビジネス・パーソンのための音楽案内

昨今は腰を据えて音楽を楽しむ機会も少なくなってきたが、初めて買ったあの曲、夢中になって何度も聴いた曲、時代を席巻した名曲をまた聴いてみたい――と思い出すビジネスパーソンも少なくないはずだ。「今月の音盤セレクション」では、月ごとのテーマに合わせた音盤をセレクト。何年かぶりにじっくり聴きたい、心にしみるあなただけの名曲が見つかるかもしれない。

「今月の音盤セレクション ビジネス・パーソンのための音楽案内」

⇒バックナンバー一覧