ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
コリア・ITが暮らしと経済をつくる国

韓国は今、本当に不景気なのか

モバイル決済急成長で「IT経済」は拡大路線へ

趙 章恩 [ITジャーナリスト]
【第3回】 2016年1月22日
1
nextpage

中国経済の失速やアメリカの金利引き上げは、韓国経済にも大きな打撃を与えている。だが一方で、韓国では官民を挙げ、新しい市場創造のためのさまざまな取り組みも行われている。今回は、韓国が最も力を入れるIT分野の新産業・新サービスの今について紹介しよう。

韓国経済を見通す
統計に国の策は?

koreagrobal不安定な国際情勢で波乱の幕開けとなった今年の韓国経済。政府の予想成長率は3.1%。 ©Fotolia_76206627

 2016年が明けてすでに22日。だが、旧正月を盛大に祝う韓国では、新年はこれからという空気も漂っている。

 この年末年始は、慰安婦問題の日韓合意、北朝鮮の水爆実験、韓国経済と密接な関係にある中国経済事情の悪化など、落ち着かない日が続いた。

 特に、輸出中心の韓国経済において、中国の経済成長鈍化、アメリカの金利引き上げ、原油価格下落といった外部要因の影響は日本以上に大きい。

 韓国銀行の経済展望によると、経常収支は、2015年に1075億ドルの黒字が、16年には980億ドルまで減少すると見込まれている。韓国の民間シンクタンクの経済予測はこれよりも厳しく、とりわけ、不動産バブル崩壊が噂される中、不動産を担保にした家計負債が問題になる可能性も挙げている。

 これまでは伸び続けていた国内の消費も、中国の株価暴落や北朝鮮の水爆実験といった外部要因で不安が広がったことや、暖冬で冬物衣料などが売れず、年末年始には減少した。

 OECDの2016年経済成長率展望によると、韓国の成長率は3.1%、その他、日本は1.0%、アメリカは2.5%、中国は6.5%と、総じて主要国の経済成長率は鈍化傾向にあり、さらに、外資系銀行が予測した韓国経済の平均成長率は2.9%だった。

 こうした経済状況下、韓国の経済政策を決める省庁の企画財政部(注1)も、OECDと同じく2016年の経済成長率を3.1%と予測した。15年の経済成長率は2.7%だったから、0.4%の伸びを見通していることになる。

 その根拠として政府が挙げるのは、消費・投資促進政策による景気回復だ。これにより、消費者物価指数上昇率が、2015年の0.7%から16年は1.5%まで拡大、15~64歳の雇用率も2015年の65.7%から16年には66.3%まで拡大すると見込んでいる。これは、朴槿恵大統領が、2013年の就任当時に公約した「雇用率70%の達成」に近い数字でもある。


注1 韓国中央官庁の「部」は日本の「省」に相当 

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
IT&ビジネス
関連記事
クチコミ・コメント

facebookもチェック

趙 章恩 [ITジャーナリスト]

ちょう・ちゃんうん/韓国ソウル生まれ。韓国梨花女子大学卒業。東京大学大学院学際情報学修士、東京大学大学院学際情報学府博士課程。KDDI総研特別研究員。NPOアジアITビジネス研究会顧問。韓日政府機関の委託調査(デジタルコンテンツ動向・電子政府動向・IT政策動向)、韓国IT視察コーディネートを行っている「J&J NETWORK」の共同代表。
IT情報専門家として、数々の講演やセミナー、フォーラムに講師として参加。日刊紙や雑誌の寄稿も多く、「日経ビジネス」「日経パソコン(日経BP)」「日経デジタルヘルス」「週刊エコノミスト」「ニューズウィーク」「リセマム」「日本デジタルコンテンツ白書」等に連載中。韓国・アジアのIT事情を、日本と比較しながら分かりやすく提供している。


コリア・ITが暮らしと経済をつくる国

韓国の国民生活に、ITがどれほど浸透しているか、知っている日本人は意外に少ない。ネット通販、ネットでの納税をはじめとする行政サービスの利用、公共交通機関のチケットレス化は、日本よりずいぶん歴史が古い。同時に韓国では、国民のIT活用に対する考え方が、根本的にポジティブなことや、政府が規制緩和に積極的で、IT産業を国家の一大産業にしようとする姿勢などが、IT化を後押ししていることも事実である。

一方の日本は、どうして国を挙げた大胆なIT化の推進に足並みがそろわないのか。国民生活にITが浸透している韓国の先行事例を見ながら、IT化のメリットとリスクを見極めていく。

「コリア・ITが暮らしと経済をつくる国」

⇒バックナンバー一覧