「サンデージャポン」「人生の深イイ話!」にも出演で話題沸騰。「かわいすぎる女子高生社長」として注目されている椎木里佳さん。パパは「鷹の爪」で有名なコンテンツ会社「ディー・エル・イー」の椎木隆太社長です。

 本連載は、2月1日にダイヤモンド社から発売される『女子高生社長、経営を学ぶ』の中から一部をご紹介します。

 今回は「TGC(東京ガールズコレクション)」の権利を買収した事例をもとに、強いコンテンツとは何かを学びます。

(取材・構成:佐藤智、竹村俊介、撮影:小川孝行)

パパが東京ガールズコレクションを買収した理由

里佳 昨年、パパの会社ってTGC(東京ガールズコレクション)を買収したでしょ? なんでTGCだったの? いけるって思ったわけ?

TGC(東京ガールズコレクション)……2005年に始まった日本最大級のファッションイベント。若者に人気のモデル、タレントが多数出演するド派手なショーは年2回のペースで開催され、その熱狂は衰えることを知らない。

パパ いまの時代、「熱狂を作れる」って、すごいことなんだよ。
 これだけコンテンツがあふれる中で、全国津々浦々、全国民を巻き込んで熱狂を作るのって、ものすごいコストがかかる時代。昔ほどそんな熱狂って起きなくなってる。

『女子高生社長、経営を学ぶ』ダイヤモンド社より発売。1300円+税

 昔は「紅白歌合戦」とか「力道山の試合」とか、本当に多くの人が同じメディアを見てたから、国中で盛り上がることが可能だった。

 でもいまみたいに本当にメディアが多い中でそういう熱狂を作るって、ものすごく難しくなってる。あるとしたら、本当にオリンピックとか、ワールドカップとか。大変なコストをかけないと、そんな熱狂って作れないでしょ?

里佳 たしかに、全員がワーッてなることってほぼないよね。

パパ うん。でも、こういう時代でも、ビジネスにはやっぱり「熱狂」って必要。

狭くてもいいから熱狂をつくれ

パパ で、僕たちが意識したことは「狭くてもいいから熱狂を作る」っていうことだったんだ。ただ、範囲が狭いといっても、対象が10人ではビジネスにならないから、僕たちはそこを数百万人でいこうと思った。

里佳 数百万が熱狂ってのもスゴイけどね。

パパ 「秘密結社 鷹の爪」は、TOHOシネマズさんで映画が始まる前に流してもらってるでしょ? そこでは年間約3000万人から4000万人が映画を観ているから、そこから「鷹の爪」が愛され始めた。

 静岡放送さんで「パンパカパンツ」をやったことも同じ。静岡県って、370万人いるからね。

「パンパカパンツ」……2008年に静岡放送とDLEの共同企画としてスタートしたキャラクター。一度見聞きしたら忘れられない歌とダンスでたちまち大人気に。特に静岡県では知らない人はいないと言われている。そのLINEスタンプは世界7ヵ国で1位を獲得するなど、現在は世界的人気キャラクターとなっている。

里佳「静岡の人だけ、ピンポイントで大流行」ってことか。

パパ 静岡の隣の愛知県の人も神奈川県の人も、誰も知らない。静岡の370万人だけが知っていて。でも、この370万人には「超かわいいキャラクターだ!」って夢中になってもらう。

 この「密度の濃いところで熱狂を作る」ことによって、この人たちが「モノを買いたい」とか「誰かにこれを伝えたい」とか「誰かに語りたい」って思ってもらえる。

 そういう熱量からヒットって生まれると思うんだ。だからなにしろ、狭いけれども熱量があるものっていうのを、僕たちはすごく価値があるって思ってる。

里佳 自分たちだけ知ってたら、自慢したくなるもんね。今の時代は、夢中になってる核の人がいたら、どんどん広がっていくんだ。

パパ TGCは、17歳から23歳くらいの300万人ぐらいの若い女の子が、超熱狂している。そこの前後にもっと人数がいると考えると、トータルで5〜600万人くらいいるよね。それだけの人数を熱狂させるブランドというのは、非常に価値があると思った。で、このコンテンツならば、勝負できると思ったんだよね。

里佳 もう熱狂がつくれているから、それをさらに広げられるみたいな?

パパ うん、そこをうまくマネタイズすれば。まだ、できていないことがあるからチャンスだなって。

「ジャパン」より「東京」のほうがブランドは強い

パパ あと、東京周辺の熱狂ってアジアにも確実に通用する。だから、TGCはアジアにも展開できると思ったんだ。

 さらに言っちゃうと、「ジャパン」というよりも「東京」というほうが、アジアの人からするとわかりやすいし、価値があるんだ。その「東京」というワードが入っている、人を熱狂させられるイベントって、ものすごいポテンシャルがあるって思ったんだよね。間違いなく、アジアに広げられる自信があった。

里佳 TGCっていつからやってるんだっけ?

パパ 05年からだから……今回で21回目か。

里佳 私も小学生のころからファッション大好きだから。私小五から行ってたなー。「TGC、超憧れ!」みたいな感じで。

 ランウェイの真横のスタンディングエリアは争奪戦なのね。開場してすぐダッシュ! 席がないからマジ必死。開場の13時から、終わりの21時過ぎまで、8時間くらいずっと立ちっぱなし。中学生、高校生が超熱狂してるよね〜。

パパ 里佳はTGCに出たかったの?

里佳 私は完全に、いつかTGCを作る人になりたいって思ってた。マジで小5から思ってた。

パパ すでにプロデューサー視点だったんだ(笑)。

里佳 小学生ぐらいのときに、映画の「プラダを着た悪魔」でヴォーグの編集長のアナ・ウィンターを見て、「この人がいい! なりたい!」と思ったことがあって。で、そういう「作る側」というか、その人のひとことだったり一挙手一投足で、社会がめちゃくちゃ注目するみたいな。TGCもイベントひとつで、社会全体が注目するっていう、そういうのに憧れを持っていたんだよね。

パパ これだけ夢中になれるイベントってやっぱりすごいよね。

里佳 ほんとにない。他のイベントっていったらコミケとか、けっこうオタク系になっちゃう。

パパ たしかにそういう傾向はあるかも。

里佳 まあ、TGCの競合もあるから、パパがんばって。

 ※明日に続きます