「サンデージャポン」「人生の深イイ話!」にも出演で話題の女子高生社長・椎木里佳さん。パパは「鷹の爪」で有名なコンテンツ会社「ディー・エル・イー」の椎木隆太社長です。

「女子高生が強みだなんて、他人に言われてはじめてわかった」

 里佳さんが、上場企業の社長であるパパに経営について学ぶこの企画。今回は「自分の強みは自分では気付けない」という話。ブランディングにもつながる大切なテーマです。

(取材・構成:佐藤智、竹村俊介、撮影:宇佐見利明)

まず船出して、行き先はそれから考える

里佳 じゃあ「起業しようかな? どうしようかな?」って思っている人は、「ビジネスモデルが思いつかないから起業しない」じゃなくて、まずは船出してみるってことが大切なの?

パパ そうだね。

「女子高生が強みだなんて、他人に言われてはじめてわかった」『女子高生社長、経営を学ぶ』ダイヤモンド社より発売。1300円+税

 ただ、35歳までに上場したい!とかのゴールのイメージを持ったり、やりたいことの方向は決めとかないとね。ジャンルというのかな。たとえば「キャラクター業界でなにかをやりたい!」とか。

 それが決まったら、とりあえず自分の頭でまず考えてみる。悩みに悩んでみる。ただ、そこから何ヵ月も考えてもしょうがないから、まず一歩出しましょう、と。

里佳 一歩踏み出す勇気!

パパ その勇気さえあれば、あとは進んでいくだけだよね。実行すれば、失敗と成功がある。「ああ、今の痛かった。次はこうしよう」っていうふうにPDCAサイクルを回していく。

里佳 PDCA、ね。

パパ わりといまPで止まる人、多いんだ。だからパパは「Doしようよ」ってよく言うんだ。

里佳 DO!

パパ 実行ね。みんなには、その一歩を気軽にやって欲しいなというのが、僕の望みかな。お気軽っていっても実はそこが難しいんだけど。里佳のようにビジネスモデル考え中でも一歩を踏み出す人もいるんだから、それでいいんだよ、って。

 

「私のほうがスゴイ」と思ってたのに、一ヵ月で「40いいね」

パパ 里佳が会社を作ってからの話をしようか。まず、会社つくって何から始めたんだっけ?

里佳 起業したときは中学生だったから、中学のときバイト禁止だったのね。だから学校には言えなかった。だから、穏便にできるものがいいなと思って。

 そのとき「東京オタクモード」っていうフェイスブックページがあった。それがたしか300万いいね!くらい付いていたの。「これで300万いいね!付くんだったら、私がやればもっといくっしょ!」と思って。

パパ おっさんがやって300万なら、私ならもっとすごいでしょ!って?

里佳 そうそう。で、中学生の「カワイイ」を集めた、中学生の日常を写真に撮って載せてたのね。お菓子のパッケージとかカワイイもの見つけたら載っけるみたいな。

「女子高生が強みだなんて、他人に言われてはじめてわかった」

パパ で、どれくらいいいね!付いたの?

里佳 1ヵ月で40いいね!

パパ 40万じゃなくて?

里佳 学校の仲良い友達だけがポチッとしてくれて40いいね! こりゃ、無理だなと思って、すぐ閉じました。

パパ それが最初のチャレンジね。

里佳 はい。即終了で。

パパ いいじゃん。

里佳 よくないよ。

パパ そうやって、ネットでちょっと試すっての、実は大事だよ。

 そこで、「ああ、こういうのがウケるのか!」とか「こういうのは意外にウケないんだ」とかを学ぶわけでしょ? これからのベンチャーは、低コストでチャレンジして、反応が良ければお金をつぎこみ、悪ければすぐに方向転換するべきだよ。

 で、即終了してからどうしたの?

里佳 「ダメだったな……はて?」って感じ。そっからはなんにも考えてなかったからヤバいなって。どうしようかなと思ってるうちに中学を卒業しちゃって、そのまま高校に入って。

「そろそろなにかやらなきゃ」と思って、とりあえずツイッターとブログを始めたの。そしたら、バーッと炎上した。ただ自己紹介しただけなのに。

 そこで思いがけず、サイバーエージェントの方からお声を掛けていただいて。「JCJK総研」の編集長をやってくれないかと。

パパ それが最初のお仕事だ。

里佳 そう、本当に最初のお仕事という感じで。でも、今考えると、バイトしたほうが稼げるレベルのお給料で。本当に会社との取引ってより、女子高生にバイト代払ってるという感じの。けっこうナメられてたな、っていう。

パパ いただけるだけ感謝だよ。

里佳 「晋!」って感じで。「晋、この野郎!」って感じ(笑)。

パパ こらこら、謙虚な心はどこいった? ここ見られたらどうすんの(汗)?

 

自分の強みは自分では気づかない

パパ ところで、さっき炎上したって言ったけど、なんか発言したの?

里佳 いや、普通に「株式会社AMF代表取締役、高校一年生、15歳の椎木里佳です」みたいな感じで書いたら、2ちゃんで炎上して。

パパ そのときはどうだったの? 注目されてうれしいみたいな?

里佳 ぜんぜんうれしくないよ。

 勝手に叩かれて。なんで?なんで? って。

パパ でも、結果的には叩かれたことで、サイバーの方の目に留まったわけでしょ? なにが吉と出るかわからないね。

里佳 わからないね。そこでいろいろ学ばせてもらって。……お給料は少なかったけど。

パパ だから、その話やめなさいって。

里佳 でも、そのときまで、自分が中学生で起業したということに、そんなに強みというのを感じてなかったんだよね。別にそんなすごいことじゃなくない? って。

 でも、サイバーエージェントの方とかに「あなたは高校一年生だから、いろんな人が注目してるよ」みたいな感じで言われて。そこではじめて、「ああ、そうなんだ!」と思って。

パパ まわりに価値を見つけてもらった?

里佳 自分の強みがわかった。じゃあ、これは利用するしかないな、と思って、自分から「女子高生起業家」というのを名乗り始めたという。

パパ それまでは、自分の若さとか、高校生とか中学生とかのブランドを利用して、なにかをしようという発想はあまりなかったんだ?

里佳 なかったね。

パパ そうか、人の強みって自分では案外わかんないもんなんだよ。

「女子高生が強みだなんて、他人に言われてはじめてわかった」

 里佳のこの一連の動きは、「勇気を持って自分の起こした行動が予期せぬ展開を生み、それに驚きながらも、自らにプラスになると考えて化学反応していく」という、まさにビジネスモデルを柔軟にしながら走っているスタイルだね。

里佳 晋のおかげね!

パパ やめなさいって!!

(続く)

 この対談を特別編集し、「起業と経営の基本ノウハウ」を詰め込んだ椎木里佳さん・隆太パパ初の著書『女子高生社長、経営を学ぶ。』がダイヤモンド社より来春発売予定! 乞うご期待!