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吉田恒のデータが語る為替の法則

人民元弾力化で「危機」第2幕は来ない!?
中国はユーロ高&株高を教えてくれた!

吉田 恒
【第85回】 2010年6月23日
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 中国が人民元の弾力化、実質切り上げを決定しました。

 これは、この間のユーロ安、株安、金利低下が転換に向かっている可能性を示唆するもので、ここで再確認する必要があると思います。

「100年に一度の危機」第2幕への懸念はなくなった!?

 人民元の弾力化は、今週末にG20(20カ国・地域首脳会合)という重要なイベントが迫っているため、外圧を警戒して中国が譲歩したとの見方が多いようです。果たして、そのような決断だったのでしょうか?

 もともと、人民元の政策変更は、今年4月にも実施される可能性が高いと見られていました。

 しかし、ユーロ危機が深刻化し、世界同時株安となって、場合によっては「100年に一度の危機」の第2幕を迎えるかもしれないといった不安が広がったことから、人民元切り上げは簡単にはできないという見方にマーケットは変わりました。

 ただ、いくら外圧を警戒したとしても、「危機」の第2幕となるかもしれないといった不安が残る中では、妥協などできないのではないでしょうか?

 つまり、人民元の政策変更を行っても大丈夫と判断できるほど、「危機」の第2幕に対する不安がなくなったと考えることはできないでしょうか?

人民元切り上げはユーロ高・株高・金利上昇を示唆する

 人民元の切り上げは、金融引き締めを意味します。

 今年に入って、中国は1月、2月、5月の合計3回、預金準備率引き上げによる金融引き締めを決定しました。決定直後の中国の株価(上海総合指数)は、3回とも反落しました。

 これに対して、今回の上海総合指数は決定直後に上昇しています。引き締めを行っても株高になったことで、「危機」第2幕への不安は峠を越したと考えられないでしょうか?

 今回の中国の決定は、あくまで外圧を意識したポーズに過ぎず、「名ばかり」の引き締め策だから、決定直後の株価は反落しなかったと見る人もいるでしょう。

 そして、外圧に押し切られ、「危機」第2幕のリスクがある中でも引き締めに動いた結果、これから「危機」第2幕が本格化すると考える人もいるでしょう。

 そういったことをもう数日見極める必要はあるのでしょうが、もし「危機」第2幕が本格化しないならば、最初の考え方の確度が高まりそうです。

 つまり、「危機」第2幕は、ユーロ危機をきっかけにして、株安と金利低下が再燃している状況ですから、その不安がなくなったということは、ユーロ高、株高、金利上昇に向かっているということになるでしょう。

「間違った」株安と金利低下は転換へと向かう!

 私は、このコラムでも書いてきたように、「100年に一度の危機」の第2幕が起こるといった考え方に対し、否定的な見方をしてきました(「相場の『間違い』は必ず修正される!『何でもユーロ安』はいつまでも続かない!」を参照)。

 5月に見られた世界同時株安については、いわゆる「セル・イン・メイ」が行き過ぎた可能性があると考え、そうであるならば、6月以降は株高になると思ってきました(「ユーロ危機の行き過ぎ相場は分岐点に。『セル・イン・メイ』は6月以降も続くのか?」を参照)。

 また、世界同時株安に伴うリスク回避で安全資産の米国債が買われ、一時3%割れ近くまで急低下した米国の長期金利についても、「間違い」だと見ていました。

 そして、米国の長期金利には、6月に年間の天井ないし底値をつけるアノマリーがあることから、そのような「間違った」金利低下についても、この6月に転換する可能性が高いと考えてきました(「『スピード違反』の域に入ったユーロ安は、米金利の6月アノマリーでクライマックス!?」を参照)。

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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