経営は、現金に始まり、現金に終わる

 私の「かばん持ち」をした多くの社長は、「売上を伸ばせば、会社はつぶれない」と考えていますが、それは間違いです。

 銀行の格付が7以下の会社(業績が不安定な要注意先の企業)が、「3年間125%以上」の増収増益をすると、資金ショートで黒字倒産します。

「売上」と「現金」は、必ずしもイコールではありません。「売掛・在庫」という概念がないと、倒産の危機を招くことがあります。現金で仕入れていて、売掛で販売していたら、帳簿上は利益が出ていても、実際には現金は減っていきます。

 会社が上げる利益の50%は税金です。残りの半分、つまり利益の25%を予定納税として納付する。残りは利益の25%です。ところが今度は、借入金の返済が待っている。

 では、その25%が在庫や売掛金になっていたら、どうなりますか?
 資金難に陥って倒産します。これが黒字倒産のカラクリです。

 現金は、会社の血液です。止まると倒産します。どんなに儲かっていても、現金がなければ、賞与も給料も支払いもできません。反対に、たとえ赤字でも、B/S(貸借対照表)を見ながら資金調達の仕方を変えていけば、倒産することはありません。

 会社には最低でも、「月商と同額の現金」を用意しておくべきです。
経営は現金に始まり、現金に終わります
 モノの長さをはかるのは「ものさし」。重さを量るのは「はかり」。そして、経営をはかるものが「現金」なのです。