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日本を元気にする経営学教室

トップの使命感、設備内製、継続活動
日本にある元気な工場から学ぶ「元気の源」
慶応義塾大学ビジネス・スクール校長 河野 宏和

遠藤 功 [早稲田大学ビジネススクール教授 株式会社ローランド・ベルガー会長],加登 豊 [神戸大学大学院経営学研究科教授],成生達彦 [京都大学大学院経営管理研究部教授],河野宏和 [慶應義塾大学大学院学経営管理研究科委員長 慶応義塾大学ビジネス・スクール校長]
【第4回】 2010年7月5日
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 日本経済の低迷が長期化し、景気回復も薄日程度と言われる中で、生産活動を取り巻く環境は厳しさを増している。日本のコスト高、特に人件費やインフラコストの高さを理由に、未だに海外生産にシフトする流れは続いている。日本に残る工場はマザー工場としての役割が期待され、量産品は海外に流出していく。国内に残る工場でも、人件費を変動費化するという名目のために、派遣などの非正規社員が増え、正規社員の比率は低下している。

 こうした状況では、生産量が限られ、一定のパイを取り合う競争になるから、元気のある工場は少ないだろうと思われるかも知れない。筆者はできるだけ工場へ足を運び、現場へ深く入りこんで調査・分析することを心がけている。その経験から言うと、国内にもまだまだすばらしいと感じる工場がたくさんある。

腕時計組立工場:
設備を内製し、人を育てて利益率7倍

 1つ目の例は、長野県飯田市にある腕時計の組立工場、大手時計メーカーの生産子会社である。時計自体、携帯電話で時刻を確認する人が増え、数量面では大きな伸びは期待できない。1個100万円以上の高級腕時計は、そのほとんどをスイス製のブランドに独占されている。よって、売上げの伸びが限られる中で、いかにして業績を改善するかは、難しい課題と考えられている。

 この工場では、2003年に本社の技術部長が社長として就任し、活発に改善活動を進めた。国内メーカーとしては上位価格帯の新モデルを開発し、高度技能者を育成認定して、それらを彼女たちに1台ずつ手組みさせて高級ブランドを育てる一方で、中位価格帯のモデルでは、組立工程の設備化に努めた。

 作業者が行っている作業を技術部門の人たちが観察し、その動きを注油ロボ、ネジしめロボなど簡易ロボットに置き換える。もちろん、ロボットは全て内製である。腕時計は小さい。ならば設備が大きい必要はないという考え方で、徹底的にコンパクトな設備を開発した。小さな設備は必要なエネルギーコストが小さく、設備を並べて作られるラインもコンパクトになる。

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遠藤 功(えんどう いさお) [早稲田大学ビジネススクール教授 株式会社ローランド・ベルガー会長]

1956年生れ。79年早稲田大学商学部卒業、三菱電機入社、米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。その後、米系戦略コンサルティング会社を経て、2008年から早稲田大学ビジネススクールのMBA/MOTプログラムディレクターとして、ビジネススクールの運営を統轄。また、欧州系最大の戦略コンサルティング・ファームであるローランド・ベルガーの日本法人会長として、経営コンサルティングにも従事。『MBAオペレーション戦略』『現場力を鍛える』『見える化』など著書多数。

加登 豊(かと ゆたか) [神戸大学大学院経営学研究科教授]

1953年生れ。78年3月神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程修了、86年4月大阪府立大学経済学部助教授、94年1月神戸大学経営学部教授、99年4月神戸大学大学院経営学研究科教授、2008年4月~10年3月経営学研究科長・経営学部長。『インサイト管理会計』『インサイト原価計算』『ケースブック コストマネジメント』『管理会計入門』など著書多数。

成生達彦(なりう たつひこ) [京都大学大学院経営管理研究部教授]

1952年生まれ。78年横浜国立大学大学院経済学研究科修士課程卒業、81年京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修学、89年米国ノ-スカロライナ州立大学大学院卒業(Ph.D.)、81年南山大学経営学部に就職、94年に教授、同年京都大学博士(経済学)、98年京都大学大学院経済学研究科教授、2006年京都大学大学院経営管理研究部教授、2008年~09年京都大学大学院経営管理研究部研究部長。主著に『ミクロ経済学入門』など。

河野 宏和(こうの ひろかず) [慶應義塾大学大学院学経営管理研究科委員長 慶応義塾大学ビジネス・スクール校長]

1980年慶應義塾大学工学部卒業、82年同大学院工学研究科修士課程、87年博士課程修了、同年慶應義塾大学大学院経営管理研究科助手、91年工学博士、91年助教授、98年教授となる。2009年10月より慶應義塾大学大学院経営管理研究科委員長、慶應義塾大学ビジネス・スクール校長を務める。1991年7月より1年間、ハーバード大学ビジネス・スクールヘ留学。IEレビュー誌編集委員長、TPM優秀賞審査委員、日本経営工学会理事。


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国内市場は成熟化する一方、グローバル化は急速に進展し、新興国の勃興も著しい。もはや、自ら新たな目標を設定し、ビジネスモデルを構築しなくてはいけない時代に突入。にもかかわらず、日本企業には閉塞感が漂う。この閉塞感を突破するにはどうしたらよいのか。著名ビジネススクールの校長・元校長で、経営学のリーダーたちが、リレー形式で、問題の所在を指摘し、変革のヒントを提起する。

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