政府が2030年度までに半導体・AI(人工知能)の分野に10兆円以上の公的支援を行う方針を決定した。今後の半導体政策の鍵を握るのが、自民党経済安全保障推進本部長と半導体戦略推進議員連盟(半導体議連)幹事長に就任した小林鷹之衆議院議員だ。特集『半導体の覇者』の#9では、ダイヤモンド編集部の独占インタビューに応じた小林氏に、半導体政策や経済安全保障政策の方向性を余すところなく語ってもらった。(聞き手/ダイヤモンド編集部 村井令二)
石破政権の「10兆円」支援表明は
半導体議連メンバーの議論の集大成
――政府・自民党の経済安全保障や半導体の政策は、2024年の衆院選で落選した甘利明氏がリードしてきましたが、小林議員は、その後任として、自民党の経済安全保障推進本部長と半導体戦略推進議員連盟の幹事長に就任しています。
党の経済安全保障推進本部と半導体議連の議論は車の両輪です。経済安全保障本部の本部長には私が就任していて、半導体議連は、会長が山際大志郎さんで、私が幹事長、事務局長が関芳弘さんという体制になりました。
――石破政権になって「30年度までの7年間で半導体・AI(人工知能)産業に10兆円以上の公的支援」の枠組みを発表しました。甘利氏が落選して政府の半導体支援にブレーキがかかるとみられましたが、一転して半導体支援は強化の方向です。
当然、政権が代わって突然に新しく半導体の政策が出てきたわけではなく、半導体議連や経済安全保障推進本部の中で、もう3年半くらい前からさまざまな議論をしてきたものです。たまたま結果としての発表のタイミングが今であったということでした。
実際には、半導体や経済安全保障の議論は“機微情報”に触れる部分があるので、甘利氏や山際氏などある程度固定されたメンバーで進めてきたのが実態です。
政府が半導体・AI産業に10兆円以上の公的支援を決定したのに合わせ、自民党の半導体議連も活動を再開した。自民党総裁選挙への再挑戦を公言している小林氏は、“経済安保のドン”と呼ばれた甘利氏に代わって半導体政策の鍵を握る存在になる。次ページでは、今後の半導体支援の行方や米トランプ政権発足による半導体産業への影響などを本音で語った。