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中国進出企業が無視できない「ルイスの転換点」
労働争議や現地人のトップ起用が相次ぐ理由

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第132回】 2010年7月6日
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 最近、中国で労働争議が頻発しているというニュースをよく見かける。従業員のストライキの影響で、日本企業の現地法人が、一時的に操業を止めざるを得ない状況に追い込まれるケースもあるようだ。

 また、トヨタ自動車やコマツが、外国法人のトップに次々と中国人を起用する大胆な人事が相次いでいる。

 こういった雇用トレンドの背景には、中国の経済構造や中国政府の経済政策の変化があることを、見逃してはならない。中国市場では、今何が起きているのか?

経済構造の転換が始まった中国で、
変化を迫られる「雇用トレンド」

 中国は、これまで安価で豊富な労働力を主な武器として工業化を進展させ、“世界の工場”の地位を確立してきた。“世界の工場”とは、中国国内で作った製品が広く世界市場に輸出され、その製品が世界市場を席巻している状況を指す。

 中国の経済規模が相対的に小さいときは、そうした経済構造でよかった。しかし、今年わが国を抜き、米国についで世界第2位の経済大国になろうとしている中国が、いつまでも輸出に依存した経済構造を続けることはできない。

 何故なら、大国には大国の責任があるからだ。特に、米国に代わって世界の覇権国の地位を狙う中国が、海外要因に頼って成長する経済の構造を維持することは、海外諸国からの賛同を得にくい。

 世界のトップに立つ国のプライドとして、輸出にばかり頼ってはいられないのである。

 そこで中国政府は、最近輸出と共に個人消費を拡大する政策を採り始めている。時間をかけて、欧米並みの国内消費主導型の経済構造へと、モデルチェンジを図っているのである。

 そのモデルチェンジを実現させるためには、家計部門の所得を増加させることが重要である。所得を増やすためには、一定の労働争議を容認してでも、賃金水準の上昇を図ることが必要になる。わが国の企業経営者は、そうした中国政府の政策変化を、見逃してはならない。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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