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エコカー大戦争!

高齢化する地域の「足」に自家用車を使う試みの難しさ

桃田健史 [ジャーナリスト]
【第219回】 2016年2月24日
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高度成長期には商店街として賑わった口内町の中心部も、今は閑散としている。北上駅までの路線バスは平日4本、土日休日は運行していない Photo by Kenji Momota

限界集落になる前に、住民自らが動く
自治協議会として「自家用有償旅客運送」を検討

 東北新幹線の停車駅である、岩手県の北上(きたかみ)。駅の中心部から太平洋側の大船渡市を向かう国道107号線で、北上川を越えて少し行くと山道に入る。例年より降雪量が少なく路面の状況が良いため、レンタカーの四輪駆動の軽自動車でも走りやすい。市街から約10km、時間にして20分ほどで北上市口内(くちない)町に入った。

JR北上駅から西へ約10km。山間にある口内町。現在の人口は約1600人 Photo by Kenji Momota

 この辺りは、盛岡と気仙沼を結ぶ国道456号線とも交差しており、他の地域と地理的な交通の便は良い。だが、口内町は近年、高齢化が加速し、農業に従事する人も減少。平成19年にはJA全農(全国農業協同組合連合会)の支店と、JAが運営していたスーパーマーケットが撤退した。

 人口は最盛期の昭和30年代の半分以下の1600人まで減少し、そのうち65歳以上が占める割合(高齢化率)は4割を超えた。このままのペースでいくと、2020年には高齢化率が5割を超え、地域の行事や催事を住民自らでは継続することが難しくなる「限界集落」になる。高齢化がさらに進めば、自らでクルマを運転して買い物や通院することも困難になる。

 こうした社会課題を解決する手段として、口内町の有志が取り組んだのが「自家用有償旅客運送」による地域交通の確保だ。

 「自家用有償旅客運送」とは、平成18年の道路運送法の一部改正で発効された新しい公共交通の制度(道路運送法第79の3)だ。利用する車両は、事業用の“緑ナンバー”ではなく、“白ナンバー”の自家用である。NHKなどの大手メディアは、“いわゆる白タク”という“不明瞭な表現”で報じることが多い分野だ。

 実施の条件は、国土交通省の資料によると、大きく二つある。

 一つは、地域の定常的な交通について『バス・タクシー事業によることが困難であり、かつ、地域住民の生活に必要な輸送を確保することにつき地域の関係者が合意していること』。

 もう一つは、『運行管理、運転車、整備管理、事故発生時の連絡等に係る必要な安全体制を確保していること』である。

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桃田健史 [ジャーナリスト]

日米を拠点に世界各国で自動車産業の動向を取材するジャーナリスト。インディ500、NASCARなど米国レースにレーサーとしても参戦。自動車雑誌に多数の連載を持つほか、「Automotive Technology」誌(日経BP社)でBRICs取材、日本テレビでレース中継番組の解説などを務める。1962年生まれ。著書「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」好評発売中


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