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モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

トヨタ・VW・GMが群雄割拠!
自動車「新ビッグ3」覇権争いの行方

佃 義夫 [佃モビリティ総研代表]
【第24回】 2016年2月26日
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2015年の世界自動車販売に見る
「新ビッグ3」覇権争いの構図

2015年の自動車世界販売トップ3は、日本のトヨタ自動車、ドイツのVW、米国のGMとなった。日米欧の代表選手がしのぎを削る「新ビッグ3」の行くとは? Photo:TOYOTA/VW/GM

 2015年のクルマ世界販売が出揃うなか、トップ3は日本のトヨタ自動車が4年連続の首位、2位にドイツのフォルクスワーゲン(VW)、3位に米国のゼネラル・モーターズ(GM)となった。世界の自動車ビッグ3の座はここへきて日本、ドイツ、米国を代表する自動車メーカーで固まる一方で、そのトップ争いが拮抗する流れを示している。

 トヨタは、4年連続の首位を堅持しグローバルで1015万台を販売したが、2位のVWが993万台、3位のGMが984万台と、約30万台の差でいずれも1000万台に迫るグローバル販売を示し、「新ビッグ3」によるトップ争いの流れを見せてきている。

 20世紀の世界自動車産業をリードしたのは、米国のゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター、クライスラーだった。米ビッグ3と呼ばれたこの3社は、イコール世界のビッグ3でもあり、世界の自動車産業のリーダーだった。しかし、米国勢はリーマンショック前から業績に変調をきたしていたがリーマンショックで経営危機に陥り「ビッグ3」の座から陥落していった。

 米国勢に代わって世界販売を伸ばしたのが、トヨタとVWだ。トヨタは2000年代初めにグローバル攻勢を強めて伸ばしたが、リーマンショックで一時赤字転落し、立て直しを進めての世界トップを維持している。一方のVWは、この機に明確に「世界覇権」を狙ってグループ力の強化を一気に進めてきた。

 これにより、世界の自動車覇権争いはトヨタとVWが競り合い、両社が「ビッグ2」と言われたが、ここへきてGMの復権が目覚ましく、覇権争いの一角に食い込むこととなり、勢力図は再び「ビッグ3」の様相を呈してきた。

 しかし、VWは排ガス不正問題でつまずき、昨年後半に失速するという「自滅」を演じた。その影響もあって、昨年の販売は1000万台に届かず、さらに本年以降もその余波が販売に不透明さをもたらしている。それに対してトヨタは、かつてのグローバル拡大戦略の反省に立って、グループ内を固める姿勢を見せている。GMは、米オバマ政府の救済策によって経営危機から立ち直ってきたが、本物の復権はこれからと見る。

 世界の自動車「新ビッグ3」は日米欧の代表選手が顔をそろえる陣容になったが、それぞれがお家事情を抱えており、かつてのビッグ3のように、圧倒的に世界をリードする力を持つ構図には至っていないのが実情である。

 その意味では、世界経済全体の不透明さ、中国経済の減速や原油の動向に加え、次世代車のエコカーや自動運転への開発動向に目を向けると、今後世界をリードする代表選手は誰なのか、混沌とした状態に見える。

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佃 義夫[佃モビリティ総研代表]

つくだ・よしお/1970年、創刊86周年(2014年2月時点)の歴史を持つ自動車産業日刊専門紙『日刊自動車新聞社』入社、編集局に配属。自動車販売(新車・中古車)・整備担当を皮切りに、部品・物流分野を広域において担当した後、国土交通省・経済産業省など管轄官庁記者クラブ、経団連記者クラブ(自工会分室)と、自動車産業を総合的に網羅し、専任担当記者としてのキャリアを積む。その後、該当編集局内における各分野のデスク・論説担当編集局次長を経て、出版局長として自動車産業オピニオン誌『Mobi21』を創刊。以降、取締役編集局長・常務・専務・代表取締役社長を歴任。45年間の社歴全域で編集・出版全体を担当、同社の「主筆」も務める。日刊自動車新聞社を退任後、2014年に「佃モビリティ総研」を立ち上げ、同総研代表となる。


モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

「自動車」から「モビリティ」の時代へ――。クルマ業界が変貌を遂げつつあるなか、しのぎを削る自動車各社。足もとで好調を続けるクルマ業界の将来性と課題とは、何だろうか。日本の自動車産業・クルマ社会をウオッチしてきた佃義夫が、これまでの経験を踏まえ、業界の今後の方向・日本のクルマ社会の行方・文化のありかたなどについて、幅広く掘り下げ提言していく。

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