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モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

トヨタ・スズキ提携交渉とフォード日本撤退がもたらす「二大激震」の波紋

佃 義夫 [佃モビリティ総研代表]
【第22回】 2016年1月29日
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自動車業界を揺さぶる
「二大激震」の背景

トヨタとスズキの提携交渉、米フォードの日本市場撤退という「二大激震」が、自動車市場にもたらす波紋とは? 写真はトヨタ・プリウス(上)とスズキ・アルト(下) Photo:TOYOTA/SUZUKI

 2016年の幕開けから比較的平穏であった自動車業界に、「2つの激震」が起きた。1つはトヨタとスズキの提携交渉、もう1つが米フォード・モーターの日本市場撤退だ。

 トヨタとスズキの提携交渉については、日本経済新聞が27日付けで報じた。同紙によると、安全・環境技術、低コストの生産ノウハウなど両社の強みを対等の精神で持ち寄り、インドなど新興国での小型車需要の開拓を共同で進める見通しとする。

 これに対し、トヨタとスズキ両社はともに「提携交渉に入ったという事実はありません」との否定コメントを発表したが、火のないところに煙は立たず。トヨタによるダイハツの完全子会社化がステップとなるのか、独フォルクスワーゲン(VW)との離婚後にスズキがどのような方向性を模索するのか、提携交渉の行方は予断を許さない。

 一方、米フォード・モーターは、26日に「日本事業から撤退する」というステートメントを発表した。フォードは2016年末までに日本における全ての事業から撤退し、経営資源を他の市場へ重中させていくとする。

 日本における事業には今後収益性確保に向けた合理的な道筋が立たず、また十分なリターンを見込めないと判断したことによる。つまり、日本の自動車市場におけるフォード車の販売不振により、シェア低迷で採算が見込めないとの決断である。近年の日本の輸入車市場における「アメ車」の低迷は、東京モーターショーへの米国車不参加などのトレンドに顕著に表れており、米フォードはグローバル市場戦略で日本市場から撤退するという、選択と集中を明確に打ち出したことになる。

 それでもフォードは、かつて日本の輸入車(外車)業界をリードした時期もある名門だけに、今回の日本市場からの撤退判断は輸入車業界にとっても衝撃的であり、大きな波紋を投げかけている。

 これら自動車業界「二大激震」の波紋は、いかほどのものであろうか。まず、トヨタとスズキの提携交渉について、考察してみよう。

 トヨタとスズキの提携の行方については、両社のグローバル市場戦略とエコカー環境・自動運転といった安全技術戦略の両面において、両社の思惑が合致するかどうかにかかっているだろう。

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佃 義夫[佃モビリティ総研代表]

つくだ・よしお/1970年、創刊86周年(2014年2月時点)の歴史を持つ自動車産業日刊専門紙『日刊自動車新聞社』入社、編集局に配属。自動車販売(新車・中古車)・整備担当を皮切りに、部品・物流分野を広域において担当した後、国土交通省・経済産業省など管轄官庁記者クラブ、経団連記者クラブ(自工会分室)と、自動車産業を総合的に網羅し、専任担当記者としてのキャリアを積む。その後、該当編集局内における各分野のデスク・論説担当編集局次長を経て、出版局長として自動車産業オピニオン誌『Mobi21』を創刊。以降、取締役編集局長・常務・専務・代表取締役社長を歴任。45年間の社歴全域で編集・出版全体を担当、同社の「主筆」も務める。日刊自動車新聞社を退任後、2014年に「佃モビリティ総研」を立ち上げ、同総研代表となる。


モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

「自動車」から「モビリティ」の時代へ――。クルマ業界が変貌を遂げつつあるなか、しのぎを削る自動車各社。足もとで好調を続けるクルマ業界の将来性と課題とは、何だろうか。日本の自動車産業・クルマ社会をウオッチしてきた佃義夫が、これまでの経験を踏まえ、業界の今後の方向・日本のクルマ社会の行方・文化のありかたなどについて、幅広く掘り下げ提言していく。

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