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大震災後、日本企業のサプライチェーンは強靭化したか(下)

上原 修 [日本サプライマネジメント協会代表理事]
2016年3月9日
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>>(上)より続く

効率化のための安易な外注から
内製を再検討する時が来た

(3)は内製化への取り組みである。

 内製か購入か?という短期の意思決定問題は、一部のサービス業務または一部の部品製造を社内で行なうのか、あるいは一部他社に外注して購入するのかを判断するものである。近年では、このような一部業務の外部委託をアウトソーシングと呼び、経営効率化の手段の一つとして注目されている。また、内外作計画は欧米においては、古くから“make-or-buy”として論じられてきたもので、特に米国では内外作の基本方針が企業の経営戦略の最上位にランクされ、最高機密として扱われる傾向があった。

 震災を機にあらためて、安易に外部に依存するのではなく、調達戦略の基本に戻り、内製を経営トップ主導で再検討する時が来たと考えている。調査では、地域共同体、コンビナート内での内製化について企業関係者から、全く考慮外との回答が多くあったが、オール日本で意識を変えることはできないだろうか。そこで以下の質問を考えてみた。

物流の途絶にどう対応するか
「共同化」でも一歩進むべき

(4)は物流体制の充実である。道路遮断や鉄道寸断では物が運べないのは当然だが、東日本大震災当時は、阪神淡路大震災を経験していたにもかかわらず、復旧に至るまで紆余曲折であった。

 多くの企業人からは、自社便、代替物流手段、海外物流ルートなど検討外と言われたが、欧米では「サプライチェーン」イコール「物流」と捉える人も多く、日本と彼我の差が大きく感じられた。それは、取引慣習(持込み渡し[DDP]と工場渡し[Ex-Work])に依存すると考えられる。

 今後、BCPを調達方針に含める場合、マインドセットの転換が必要だ。物流業界では現下、共同配送と物流の共同化が業務の効率化や環境対応、コスト削減の面から大きなテーマとして浮上しているが、一歩進んで、地域共同体・コンビナート地帯での水平的、また垂直的物流共同化を目指すべきと考える。従って、次の質問を用意した。

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上原 修 [日本サプライマネジメント協会代表理事]

うえはら・おさむ/特定非営利活動法人日本サプライマネジメント協会TM 代表理事、米アリゾナ州立大学大学院CAPS Research日本筆頭研究員、仏パリ商科大学院ESSEC・国際購買学部MBA特任教授、法政大学経営大学院イノベーションマネジメント研究科兼任講師、スイス・ジュネーブSCM経営学院 ByAction Learning 教授。1950年生まれ。仏ポアチエ大学政府留学・ブザンソン大学社費留学 学位取得。MBA(経営情報学修士)。日本鉱業株式会社(現:JXホールディングス株式会社)にて長く国際購買調達物流等を担当。同社コンゴ鉱山資材マネジャー、日鉱ニューヨーク事務所長、国際購買担当部長、米国e-commerce会社常務執行役員・購買本部長を経て現職。文部科学省独立行政法人コスト検討委員、内閣府行政刷新会議公共調達改革にてアドバイザーを務める。『グローバル戦略調達経営』(日本規格協会)、『購買・調達の実際』(日経文庫)、『枯渇性資源の安定調達戦略』(日刊工業新聞社)、『戦略的SCM―新しい日本型グローバルサプライチェーンマネジメントに向けて』(日科技連出版社・共著)、『人にやさしい会社 安全・安心、絆の経営』(白桃書房・共著)、『フランス人の流儀―日本人ビジネスパーソンが見てきた人と文化』(大修館書店・共著)、『ISO-26000実践ガイド』(中央経済社・共著)など著書多数。

 


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