ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
起業人

デザイン性の高い北欧腕時計を輸入販売
新風吹き込むPR妙手のバイヤー
アイ・ネクストジーイー社長 遠藤弘満

週刊ダイヤモンド編集部
【第118回】 2010年7月23日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage
アイ・ネクストジーイー社長 遠藤弘満(撮影:Daisuke Aikawa)

 東京都内の大手雑貨店では、「SKAGEN(スカーゲン)」という新しいブランドの腕時計がセイコーやシチズンを押し退けて棚を押さえている。デザインはシンプルで、価格は1万~2万円台と値ごろ。店員は「よく出ていますよ」と言う。

 このデンマークブランドの時計が今、売れている。2005年に本格販売が始まり、販売本数は、年間約1万5000本から、今では10万本に達しそうだ。全国約500店舗の販売網を持ち、時計業界関係者も舌を巻く。

 スカーゲンは、デンマーク・ユトランド半島最北端の漁村名に由来する。特徴は、デザイン性が高いのに安価ということだ。この時計を発掘したのが、正規輸入代理店であるアイ・ネクストジーイーの社長、遠藤弘満だ。

 遠藤は、通信販売業界で身を立ててきた。高校を卒業後、写真店の集配業務から、写真の基礎を学び、19歳で親戚の経営する通販会社に入社。富裕層の男性を対象に、クルマやゴルフ用品、腕時計などの商品カタログを作り、販売する。20代で年収1000万円もいる成果主義の徹底されたなか、遠藤は商品の仕入れ担当として頭角を現す。写真の知見も評価され、22歳でカタログ編集長に抜てき。国内外にある数千社の仕入れ先を一手に担い、人脈を広げていった。

通販番組で世界を回りPR戦術に磨きをかけて
特殊な軍用時計をヒット

 1997年、同社の先輩とともに、通販向け卸売会社を起業。初年度から自社製の水虫薬が売れる。資金をすべてつぎ込み、数万個の在庫を積んだ。しかし、取引先に行政指導が入ると、危機に瀕した。在庫は減らず、運転資金はなく、仕入れができない。販売促進のため、公民館で水虫講習を開いたが、商品が一つも売れない日もあった。手づくりPOPを持参し、朝から晩まで水虫薬を売り込んだ。

 そのとき、カタログ編集長時代に知り合った米国商社の社長から声がかかる。世界中のディズニー切手210種をまとめて売る仕事だった。遠藤は、深夜の通販テレビ番組に持ちかけた。1時間で計400セット、約4000万円分を売った。仕入れ代金は、銀行に番組の発注書を見せ、工面した。

 遠藤は、番組企画に合わせ、世界40ヵ国以上に飛び、展示会を回った。マイケル・ジョーダン引退記念用の靴の仕入れなども行い、1回3000万~5000万円の仕事をこなした。仕事を通じ、時計業界人と出会い、時計への関心が芽生えた。

 遠藤は、米ダラスの展示会で、特殊軍用時計「LUMINOX(ルミノックス)」を見つけた。夜でも常に発光し、軍用ながらカラフルな文字盤に引かれた。発光に使用されたトリチウムガスの輸入は規制されていたが、専門家に会い、国と交渉し、1年かけて輸入許可を得た。

 タレントを通じたPRが成功した。岩城滉一に限定モデルを贈ると、それが木村拓哉に渡り、ドラマでも使用される。米映画でジョージ・クルーニーが使っていることを知ると、配給会社と組み、時計雑誌の特集につなげた。一躍、流行となった。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

週刊ダイヤモンド編集部


起業人

先達の苦難の道のりには、汗と涙に彩られた無数のドラマがある。そして、起業家達の苦闘の中には明日への成功のヒントとノウハウが凝縮されている。

「起業人」

⇒バックナンバー一覧