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1記事15分。ライトなコンテンツ全盛の時代に
長文記事サイトが人気を集める理由

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第383回】 2016年3月24日
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オンラインコンテンツの
質の向上には前進が見られない?

mediumには日本語版の公式サイトもある。https://medium.com/mediumjp

 インターネット上には、役に立つ情報と共に、ゴミのようなコンテンツも相変わらずたくさんある。アメリカでも一時、まともなコンテンツのふりをした、ただの広告集め、ビュー集めのサイトが増えたことが懸念された。

 そうした中で2012年に創設されたのが「ミディウム」(Medium)というサイトだ。

 「たくさんのサービスによって情報を共有するハードルが下がったけれども、どんなものがネットに上げられるか、その質を向上させることについてはほとんど前進がない」。そう語ったのは、ミディウムの創設者のエヴァン・ウィリアムズである。ウィリアムズは、言わずと知れたツイッターの共同創業者だ。

 ウィリアムズの狙いは、人々が信頼できるコンテンツを掲載するサイト、書くことを真剣に捉えている人々のコンテンツを集めるサイトを作ろうということだ。それまでちまたに溢れるコンテンツサイトと言えば、各コンテンツが1~2パラグラフで終わっていたもの、他人の書いた記事を寄せ集めたものなどがほとんどだった。大手出版社のサイトでもない限り、じっくりと読ませるようなコンテンツを集めたサイトは他にはなかった。

 ところが、ミディウムでは読むと数分以上かかるものがほとんどで、場合によっては1本読むのに15分かかるような長い記事もある。内容はニュースやできごとの紹介よりも、思索、分析、調査したものが中心となっているのが特徴だ。

長文が読まれない
という定説を覆す

 当初、ミディウムのコンテンツは、ウィリアムズの知人らなど、限られた人々やプロのライターらの寄稿に制限されていた。忙しいインターネット時代に、悠長にそんな長い記事を読む人々がいるのだろうかと、最初は眉唾もので見られていたが、その後ジワジワと読者を増やしていった。

 そのうち、音楽雑誌の「キューポイント」、テクノロジー雑誌の「バックチャネル」という、それぞれの業界ではよく知られたジャーナリスト(いずれもオンライン)を編集長として招き入れ、さらに科学雑誌の「マター」を買収した。最初から大きくせずに、オーガニックに成長してきたという感じだ。

 そして数年経った今、ミディウムは中味のあるコンテンツが読めるサイトという評価が定着し、にぎやかな他のコンテンツサイトとは明らかに異なったアイデンティティーを確立するのに成功している。「ミディウムに載っていた」というと、一目置かれるような内容であるという印象を与えるほどだ。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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