7月1日から全国の百貨店や大型店各社は夏のクリアランスセールをスタートさせました。今のところ各社は上々のスタートを切っていますが、売れている店と売れていない店の差が激しいのが特徴です。売れている店では「セール品だけでなく、プロパー(定価品)も動いている」という状況があるようです。この傾向は、今までとちがう新たな消費の動きとして見て取れます。
今挙げた消費傾向のように、すべてのモノに対して興味がなくなり、価格が安いものしか買わないと思われていた消費者の消費スタイルに少しずつ変化の兆しが現れています。
「売れる」「売れない」という差は一体どこにあるのか。今回は、消費トレンドの変化から、これからの「経営のあり方」、「ブランドづくりの方向性」を探っていきましょう。
お客様の買い方は変わった!
“圧倒的低価格”か“本物”しか売れない
先日、コンサルティング先の社長と話をしているなかで、最近の消費傾向に話が及びました。
同社はアパレル関係の製造小売業、いわゆるSPAと呼ばれる業態で商売をしていらっしゃる会社です。現在、次々と出店を続け、好調な業績を挙げています。
同社の社長は、
「最近のお客様の買い方は、“これでいい消費”と“これがいい消費”にわかれますね」
という話をされていました。
「なるほどなー」と私も共感しました。
“これでいい”とは、わかりやすく言えば、「価格が安いもの」です。そして、「日常的に使うもの」です。素材、原料、手間はあまりかけていないものの、それなりの品質を維持しているものが該当します。いわゆる“間に合わせ的なもの”です。
Tシャツや靴下はワゴン商品、子供用品や玩具ならネットオークションやリサイクル。特にこだわりがないものならば、とりあえず最低限の条件を満たしていればいいというものになります。ポイントは「最下限価格商品かどうか」という買い方です。
つまり、「この商品はこれでまあいっか!」というのが“これでいい消費”です。
一方で、“これがいい”とは、価格は中~高め。売り手側からすれば製造原価、仕入原価もかかっていて、手間もかかる。非効率な部分はあるものの、その結果として、クオリティがとても高い。まさに「特別なもの」「とっておきのもの」です。
自分がこだわっている商品、例えばそれが趣味に関連するものであれば、「これでいい」ではモノを買いません。徹底的に自分のこだわりを貫いて、自分の納得のいく買い物をします。だから“これがいい消費”となります。