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日本に巣食う「学歴病」の正体

労組に駆け込む「生き残れない高学歴社員」の共通点

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第12回】 2016年3月29日
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 今回は企業の外にある労働組合の関係者に、高学歴社員が陥り易い「学歴病」の実態を聞いた。話を聞いたのは、労働相談を通じて多くの会社員と接点を持つ、東京管理職ユニオン・アドバイザーの設楽清嗣さん(74)である。

 東京管理職ユニオンは、一般社員だけでなく、管理職も加入できる労働組合だ。通常、社員は管理職になると非組合員となるケースが多い。そのため、多くの管理職は、会社からパワハラや退職勧奨などを受けたときに社内で相談できる相手がおらず、路頭に迷ってしまう。管理職ユニオンには、そんな企業の管理職たちも救いを求めてやって来る。

 設楽さんは、社内の関係者が聞き出すことができない悩める会社員の本音を詳しく知っているため、本テーマの取材に少なからぬヒントを与えてくれると筆者は思った。

 設楽さんいわく、日本でトップクラスの学歴を持つ会社員が労働相談の場に現れると、ある特徴が見えるという。その話を聞くにつけ、筆者にはそこに学歴病の1つの症状が見え、教育界や社会が抱え込む問題にも通じるのではないかという感想を持った。労働相談の現場から、学歴病の実態を浮き彫りにしていきたい。


高学歴者はしゃべりまくる?
労働相談に訪れる悩める社員の特徴

労組関係者が明かす、「会社に従順な高学歴社員」が陥る罠とは?

 設楽さんは慶應義塾大学文学部在学中の1960年、日米安保闘争に参加し、その後中退、労働組合活動にかかわるようになった。1992年、東京管理職ユニオンを結成し、多くの会社員の労働相談や労使紛争を支えた。55年以上にわたり、労使紛争の最前線にいた稀有な存在である。

 設楽さんに、まず東京管理職ユニオンに労働相談に来る会社員と学歴との関係について聞いた。

 「相談に来る人は、大企業から中小企業までの管理職が多いので、結果として学歴が高い傾向はあります。仕事熱心で競争心もあるし、話す力も書く力も相対的に高いものがあるように思います。彼らとの労働相談の中で『学歴が低いから会社に辞めるように仕向けられている』という話は聞きません。リストラの際、学歴で辞めさせるか否かを判断する会社は少ないと思います。ここに相談に来る人は、管理職だから狙われているのです。人件費が高く、会社として扱いに困った末に辞めるように仕向けられた可能性が高いです」

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


日本に巣食う「学歴病」の正体

 今の日本には、「学歴」を基に個人を評価することが「時代遅れ」という風潮がある。しかし、表には出にくくなっても、他者の学歴に対する興味や差別意識、自分の学歴に対する優越感、劣等感などは、今も昔も変わらずに人々の中に根付いている。

たとえば日本企業の中には、採用において人事が学生に学歴を聞かない、社員の配属、人事評価、昇格、あるいは左遷や降格に際しては仕事における個人の能力や成果のみを参考にする、という考え方が広まっている。しかし実際には、学歴によって選別しているとしか思えない不当な人事はまだまだ多く、学閥のようなコミュニティもいまだに根強く存在する。学歴が表向きに語られなくなったことで、「何を基準に人を判断すればいいのか」「自分は何を基準に判断されているのか」がわかりずらくなり、戸惑いも生まれている。こうした状況は、時として、人間関係における閉塞感やトラブルを招くこともある。

 これまでの取材で筆者は、学歴に関する実に多くのビジネスパーソンの悲喜こもごもを見て来た。学歴に翻弄される彼らの姿は、まるで「学歴病」に憑りつかれているようだった。学歴は「古くて新しい問題」なのだ。本連載では、そうした「学歴病」の正体を検証しながら、これからの時代に我々が意識すべき価値基準の在り方を考える。

「日本に巣食う「学歴病」の正体」

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