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日本に巣食う「学歴病」の正体

高学歴なのに出世が遅いのはなぜ?
悩み深きエリート社員が増える背景(上)

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第4回】 2016年2月2日
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多くの会社員が疑心暗鬼に陥る
「学歴と出世」の因果関係

実力主義の会社と学歴主義の会社において、社員たちの「学歴」に対する価値観はどう違うのだろうか

 今回は、企業(とりわけ大企業)の新卒採用や昇格に、学歴がどのように関わっているかを炙り出したい。

 偏差値の高い大学を出た社員が口にする疑問に、「いい大学を出ているのに、出世できない」というものがある。筆者はこれまでの取材で、そうした悩みを打ち明ける多くの会社員に出会ってきた。

 社員の疑心暗鬼は、「学歴病」を根付かせることになりかねない。その背景にある人事評価システムを検証し、場合によっては見直し、社員に納得感を与えてやる気にさせることは、企業にとって重要なテーマとも言える。

 世の中の企業は学歴と出世について、どんな考えを持っているのだろうか。筆者の取材経験から言うと、企業の人事関係者にそのことをヒアリングしても、タテマエ論しか話してもらえないことがほとんどであり、実態は判然としない。

 そこで今回は、人事コンサルタントとして30年以上のキャリアを持つ林明文氏(コンサルティング会社・トランスラクチャ代表取締役)に取材を試み、その意見を紹介したい。多くの大企業、中堅、ベンチャーと関わってきたコンサルタントの客観的な目を通じて、企業のタイプ別に、学歴と出世の因果関係やその課題について考察する(ちなみに林氏は、連載第2回でも意見を述べてくれた)。

 まず筆者は、林氏に大企業で働く2人の男性社員の話をした。彼らのケースを通じて、林氏と認識を共有したかったためだ。2人はここ1年の間に取材で接した人たちだ。2人を仮にA氏とB氏とする。A氏が勤める会社は、学歴を重視しない実力主義の会社、B氏が勤める会社は学歴と出世が連動している会社のように見受けられる。そこで働く社員の学歴に対する価値観は、どう違うのだろうか。

 まずは2人のプロフィールを紹介しよう。

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


日本に巣食う「学歴病」の正体

 今の日本には、「学歴」を基に個人を評価することが「時代遅れ」という風潮がある。しかし、表には出にくくなっても、他者の学歴に対する興味や差別意識、自分の学歴に対する優越感、劣等感などは、今も昔も変わらずに人々の中に根付いている。

たとえば日本企業の中には、採用において人事が学生に学歴を聞かない、社員の配属、人事評価、昇格、あるいは左遷や降格に際しては仕事における個人の能力や成果のみを参考にする、という考え方が広まっている。しかし実際には、学歴によって選別しているとしか思えない不当な人事はまだまだ多く、学閥のようなコミュニティもいまだに根強く存在する。学歴が表向きに語られなくなったことで、「何を基準に人を判断すればいいのか」「自分は何を基準に判断されているのか」がわかりずらくなり、戸惑いも生まれている。こうした状況は、時として、人間関係における閉塞感やトラブルを招くこともある。

 これまでの取材で筆者は、学歴に関する実に多くのビジネスパーソンの悲喜こもごもを見て来た。学歴に翻弄される彼らの姿は、まるで「学歴病」に憑りつかれているようだった。学歴は「古くて新しい問題」なのだ。本連載では、そうした「学歴病」の正体を検証しながら、これからの時代に我々が意識すべき価値基準の在り方を考える。

「日本に巣食う「学歴病」の正体」

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