新社会人よ、「人・本・旅」で自らを磨こう

 新社会人の皆さん、就職おめでとう。学生から社会人になった皆さんは、おそらく期待と不安がないまぜになった状態でいるのではないかと思う。そこで僕から皆さんにいくつか話をしてみたい。

この国ではまず
食いっぱぐれることはない

 わが国は先進国の中では、少子高齢化が最も進んだ超高齢社会となっている。労働政策研究・研修機構(JILPT)の推計(PDF、2015.12.16付)によると、わが国の労働力人口は、現状維持(ゼロ成長、労働参加現状)が続くと仮定すれば2030年には2014年と比較して約800万人減少すると見込まれている。800万人という数字がいかに大きなものであるかは、例えば北欧諸国の人口(スウェーデン960万人、デンマーク560万人、フィンランド540万人、ノルウェー500万人)と比べてみるとよく分かる。

 歴史を見ると、若者にとって最も不幸な状態は俗にユースバルジ(若者の膨らみ)と呼ばれる現象であることが分かる。即ち若年層の人口が大きくなると(例えば3割超)、雇用機会が自ずと限定され、社会で勝ち抜く競争率が格段に高くなる。

 そうなると若者に残された道は「海外移住、犯罪、テロ、内戦、革命、少数派の迫害、対外侵略「(グナル・ハインゾーン「自爆する若者たち」)などとなってしまい社会が不安定になる。現在の中東情勢などはまさにユースバルジが具現化した好例ではないか。わが国はユースバルジとまさに対極にある社会だ。これだけの労働力不足が見込まれているということは、元気で働く意欲さえあれば、そして職種を選り好みさえしなければ、みなさんは絶対に食いっぱぐれることはないとうことだ。

 みなさんの今の職場は、おそらくさまざまなご縁(あるいは偶然)の結果として、選ばれたものだろう。「石の上にも3年」という名言があるが、最初は、どのような職場であれ最低3年は一所懸命働いてみることをオススメしたい。ヒトの経験則として何かに3年打ち込めば、何らかの技能や技術が身に着くと言われている。それからゆっくり考えればいい。

 職場と相性が良ければそのままずっと働き続ければいいし、どうしても職場に合わないと思ったら転職すればいい。必ずしも置かれた場所で咲く必要はない。置かれた場所で咲ければいいが、咲けなければ、自分が咲けるような場所を新たに見つければいいだけの話だと考える。