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食品値上げ、新興国で暴動!?高まる異常気象リスク

新村直弘 [マーケット・リスク・アドバイザリー代表取締役]
2016年4月14日
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上昇を始めている農産品価格
背景に異常気象による供給懸念

異常気象で穀物価格が高騰するリスクはかつてないほど高い

 原油価格の下落によって多くの国際商品(資源・農産品)が価格水準を切り下げたが、景気の先行きに対する過度な懸念が後退したことでその影響は一服したようだ。年初来では、中国の経済対策期待を背景とする鋼材市況の回復などを材料にして輸入鉄鉱石価格の上昇が目立つが、原油や非鉄金属などの景気の影響を受けやすいセクターも水準を切り上げている。

 その中で、食用油の原料であるパーム油や大豆油の価格上昇も顕著である。これらは原油価格上昇の陰に隠れてあまり取り上げられてこなかったが、年初来上昇率上位に顔を出している。

 国際商品価格の上昇は、米国をはじめとする中央銀行の緩和的な政策が継続するという、金融面に牽引されたものである面も否めず、持続可能か否かはまさに景気動向による。しかし、パーム油や大豆油は景気の影響を受けにくい景気非循環銘柄に分類されるため、先述の経済対策などの影響による需要面というよりは、供給面の懸念が材料となって上昇している可能性が高い。

 供給懸念の背景には、昨年から続いたスーパー・エルニーニョ現象の影響があると考えられる。このエルニーニョは終息の見込みであるが、通常エルニーニョの後にはラニーニャ現象が起きやすい。こうした異常気象が今年の農産品価格を左右し、ひいては政情不安につながるリスクが高まると筆者は考えている。

 現在、市場動向を左右しているのは短期的な売買を主体とするCTA(Commodity Trading Advisor)などのファンドである。これは農産品セクターでも同じであり、異常気象を材料に価格が変動するリスクは高い。

 詳細な説明は割愛するが、エルニーニョ、ラニーニャは太平洋赤道付近から南米の西岸にかけての海水温が変化する現象のことを指す。前者は海水温が平年より高くなり、後者は平年より低くなる。世界共通の定義はないが、過去30年の平均との比較で、乖離の複数ヵ月の移動平均値(3ヵ月、5ヵ月など)が+0.5度を超えるとエルニーニョ、▲0.5度を下回るとラニーニャ発生、とされるのが一般的だ。

 それ自体が異常気象のことを指すわけではなく、この海水温の変化によって大気の状態が変化して異常気象を引き起こすのである。エルニーニョ発生時には赤道近辺の気温が通常よりも高温になり、ラニーニャが発生した場合には逆に低温になりやすい。必ずしもそのような天候になる訳ではないものの、異常気象の発生確率が上がると考えておいた方がよいだろう。

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