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あれか、これか ― 「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門
【第13回】 2016年5月9日
著者・コラム紹介バックナンバー
野口真人 [プルータス・コンサルティング代表取締役社長/企業価値評価のスペシャリスト]

新築か?中古か?
マンション選びに役立つ「ファイナンス思考」
「収益還元法」「正味現在価値」の考え方を学ぶ

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新築と中古、2つの投資用マンションの家賃が同じだとすれば、やはり新築のほうが断然価値が高いように思える。しかし、多くの人が考えるほど両者に価値の差が生まれないのはなぜだろうか? これはファイナンス的な「割引率」「正味現在価値(NPV)」の考え方を理解していれば、それほど不思議なことではない。

年間500件以上の企業価値評価を手がけるファイナンスのプロ・野口真人氏の新著『あれか、これか――「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門』のなかから紹介していこう。

「10年後の300万円」は167万円!?

お金の価値を考えるときには「時間」も考慮する必要がある。なぜなら、今日の100円と明日の100円は、決して同じ価値だとは言えないからだ。

これについて、もう少しシンプルに考えるため、銀行の預金金利が10%の世界を想定してみよう。

この世界では、今日100万円を預ければ1年後には110万円になる。つまり、1年後に100万円を受け取りたければ、今日のうちに約90.9万円を預ければいいということだ(90.9万円×1.1=99.9999…万円)。

裏を返せば、1年後の100万円の今日時点の価値(現在価値)は、90.9万円しかないということを意味している。

では、さらに2年後の100万円の現在価値はどうなるだろうか? 簡単だ。1年後に90.9万円になっていればいいのだから、約82.6万円(=90.9万円÷1.1)である。参考までに、定式化するとこうなる。

X円のn年後の現在価値 = X円 ÷ (1+金利)のn乗

このように将来のお金の価値を、現時点での価値に割り戻すことで、さまざまなものの価値の比較が便利になる。

このとき、金利10%をファイナンスの世界では、割引率(Discount Rate)と呼ぶ。
割引というと「スーパーの値引き」のようなイメージがあるが、そうではなく、「将来のモノの価値をどれくらい割り引いて考えるかの度合い」が割引率である。

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野口真人(のぐち・まひと) [プルータス・コンサルティング代表取締役社長/企業価値評価のスペシャリスト]

1984年、京都大学経済学部卒業後、富士銀行(現みずほ銀行)に入行。1989年、JPモルガン・チェース銀行を経て、ゴールドマン・サックス証券の外国為替部部長に就任。「ユーロマネー」誌の顧客投票において3年連続「最優秀デリバティブセールス」に選ばれる。

2004年、企業価値評価の専門機関であるプルータス・コンサルティングを設立。年間500件以上の評価を手がける日本最大の企業価値評価機関に育てる。2014年・2015年上期M&Aアドバイザリーランキングでは、独立系機関として最高位を獲得するなど、業界からの評価も高い。これまでの評価実績件数は2500件以上にものぼる。カネボウ事件の鑑定人、ソフトバンクとイー・アクセスの統合、カルチュア・コンビニエンス・クラブのMBO、トヨタ自動車の優先株式の公正価値評価など、市場の注目を集めた案件も多数。

また、グロービス経営大学院で10年以上にわたり「ファイナンス基礎」講座の教鞭をとるほか、ソフトバンクユニバーシティでも講義を担当。目からウロコの事例を交えたわかりやすい語り口に定評がある。

著書に『私はいくら?』(サンマーク出版)、『お金はサルを進化させたか』『パンダをいくらで買いますか?』(日経BP社)、『ストック・オプション会計と評価の実務』(共著、税務研究会出版局)、『企業価値評価の実務Q&A』(共著、中央経済社)など。


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