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あれか、これか ― 「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門
【第9回】 2016年5月3日
著者・コラム紹介バックナンバー
野口真人 [プルータス・コンサルティング代表取締役社長/企業価値評価のスペシャリスト]

まだ稼いでいない起業家は
「タイムマシン」でお金を手にする

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ファイナンス的な価値の捉え方の特徴を一言で言えば、それは「未来に注目すること」だ。このような時間のズレを利用して、膨大な資金を集めているのが起業家と言われる人たちだ。また、ファイナンス的な思考ができる人には「コスト」という概念はないという。これはどういうことだろうか?

年間500件以上の企業価値評価を手がけるファイナンスのプロ・野口真人氏の新著『あれか、これか――「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門』のなかから紹介していこう。

起業家は「タイムマシン」を利用している

モノの価値は「将来生み出すキャッシュフローの総額」――これがファイナンスの価値の考え方だ。これは「過去にかかったキャッシュの総額」に注目するコスト・アプローチや「現在取引されている価格」に注目するマーケット・アプローチとは対照的だ。

ファイナンスはとにかく未来を見る。未来から振り返って現在の価値を考えるのである。

これをうまく利用しているのは、ほかでもなく起業家(アントレプレナー)である。「フォーブス」誌が選んだ「世界の大富豪ランキング」を見ると、ほとんどが起業家と企業の大株主だ。

彼らがなぜ富豪になれたか、答えはシンプルだ。彼らがやったのは2つのこと。

(1) 起業した会社を、毎年キャッシュフローを生む企業に育てる
(2) その後、会社を上場させる

まず(1)は「毎年キャッシュフローを生む会社」というところがポイントだ。これによって、将来のキャッシュフローの価値総額を大きく見積もらせることができる。

ごく単純化した話だが、毎年1億円の利益を30年間稼げる会社だと判断されれば、その会社の価値は30億円になる(実際はもう少し複雑だが、これについては後日)。

ただし、「大富豪」になろうとするのであれば、これだけでは不十分だ。稼ぐ会社をつくったあとは、その会社の株式がファイナンス的価値に基いて取引される市場がなければならない。そこで必要なのが上場である。

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野口真人(のぐち・まひと) [プルータス・コンサルティング代表取締役社長/企業価値評価のスペシャリスト]

1984年、京都大学経済学部卒業後、富士銀行(現みずほ銀行)に入行。1989年、JPモルガン・チェース銀行を経て、ゴールドマン・サックス証券の外国為替部部長に就任。「ユーロマネー」誌の顧客投票において3年連続「最優秀デリバティブセールス」に選ばれる。

2004年、企業価値評価の専門機関であるプルータス・コンサルティングを設立。年間500件以上の評価を手がける日本最大の企業価値評価機関に育てる。2014年・2015年上期M&Aアドバイザリーランキングでは、独立系機関として最高位を獲得するなど、業界からの評価も高い。これまでの評価実績件数は2500件以上にものぼる。カネボウ事件の鑑定人、ソフトバンクとイー・アクセスの統合、カルチュア・コンビニエンス・クラブのMBO、トヨタ自動車の優先株式の公正価値評価など、市場の注目を集めた案件も多数。

また、グロービス経営大学院で10年以上にわたり「ファイナンス基礎」講座の教鞭をとるほか、ソフトバンクユニバーシティでも講義を担当。目からウロコの事例を交えたわかりやすい語り口に定評がある。

著書に『私はいくら?』(サンマーク出版)、『お金はサルを進化させたか』『パンダをいくらで買いますか?』(日経BP社)、『ストック・オプション会計と評価の実務』(共著、税務研究会出版局)、『企業価値評価の実務Q&A』(共著、中央経済社)など。


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