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まことしやかに語られる中国の「不動産バブル崩壊」は、本当に始まったのか?

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第137回】 2010年8月10日
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 「中国の不動産市場にバブルが発生している」との指摘は、専門家の間では、かなり以前からあった。それに対して、中国政府は今年に入って本格的な対策を打ち始めた。

 その背景には、バブルの拡大を放置すると、バランスシート調整という大規模な「後始末」が必要になり、経済活動が長期間にわたって阻害される点が、懸念されていることがある。

 わが国のように、バブルの後始末のために“失われた20年”を招いてしまうことを懸念しているのだ。

 具体的な対策としては、預金準備率の引き上げなどによって徐々に金融を引き締め、不動産市場に流入する投資資金を絞り始めた。また、住宅ローン扱いの規制を強化して、一般庶民の投機的な動きを抑える政策をとっている。

 そうした中国政府の対策の効果が、足許で少しずつ顕在化し始めている。6月の中国の不動産価格は前年対比では11.4%上昇しているものの、前月対比ではマイナス0.1%と頭打ち傾向が見え始めた。

 これによって、中国の不動産市場がすぐに沈静化するとは考えにくいものの、「当面、地価上昇の勢いを緩めることができる」との見方が有力だ。

「不動産バブル崩壊」の始まり?
中国政府の舵取りや、いかに

 問題は、不動産価格の上昇が止まることによって、景気にマイナスの影響が及びかねないことだ。中国政府が最も懸念するのは、不動産市場が軟調になることで、景気が大きく減速することだ。

 それを避けるため、中国政府は「不動産バブル退治」と「景気減速のペース」を両睨みしながら、今後の政策運営にあたるはずだ。

 結論から言えば、現在、中国経済が長期的な拡大傾向の真っただ中にあることを考えると、わが国で起きたような急激な地価の下落は起きないだろう。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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