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モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

ホンダ決算発表延期、真の火種はタカタ製エアバッグ問題か

佃 義夫 [佃モビリティ総研代表]
【第29回】 2016年5月6日
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熊本地震の影響だけではない?
ホンダ、異例の決算発表延期

昨年の就任会見における八郷隆弘ホンダ社長。八郷新体制下での初の決算発表は、延期という不安含みの展開となった
Photo:Reuters/Aflo

 自動車メーカー各社の決算発表が5月のゴールデンウィークを挟んで一斉に発表されるなか、ホンダが4月28日に予定していた決算発表を突然取り止め、連休明けの5月13日に延期したことに対して関心が募っている。

 一般的に、企業が決算発表を延期するときはよほどの事情があるのが常だ。国内では東芝が不正会計の発覚で、海外では独フォルクスワーゲン(VW)がディーゼル車排ガス不正問題への対応で決算発表を延期したが、こうしたケースは異例のことである。

 ホンダは延期の理由を「前期の実績および今期の業績予想について一部数値の確定に若干の時間を要することになったため」としている。確かにホンダは、先の熊本地震の発生により、二輪車を生産している熊本製作所が被災したが、今回の延期はむしろタカタ製エアバッグを多く搭載しているホンダ車のリコール問題への対応によるものではないか、と見られている。

 折しも米国の運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)が、異常破裂で死傷事故を起こしたタカタ製のエアバッグを巡ってリコール(回収・無償修理)を拡大する方針を4月30日までに固め、自動車メーカーに伝えたとされた。追加のリコール台数は、数千万台規模に上る見通しだ。現在、全世界で6000万台がリコール対象となっており、リコール台数の全容が固まれば各メーカーはタカタと費用分担などの協議に入ると見られるが、多額の負担増が避けられそうにない。特にタカタ製エアバッグの搭載車が最も多いホンダは、その費用引き当てが数千億円に上ることになり、業績に大きく影響しそうだ。

 ただでさえ、ホンダにとって昨年度の決算発表は、主力車フィット・ハイブリッド車の度重なるリコール問題による打撃で二度に渡る下方修正が行われ、業績が低迷した経緯がある。他の自動車各社が好調な業績を示すなか「ホンダ独り負け」と揶揄された。昨年6月には八郷隆弘社長が就任し、八郷新体制による心機一転で臨んでいた。しかし、今回の決算発表延期もタカタ問題だけでなく、二輪車の主力工場である熊本製作所が熊本地震で被災した影響も加わり、八郷新体制での初の決算発表にケチがついた格好だ。

 ホンダの決算発表延期については熊本地震の影響かと見られたが、同社は連休直前の4月28日に「ホンダはこの度の地震の影響により、熊本製作所の生産を4月28日まで休止しているが、5月6日より一部稼働を再開することを決定した。今後、状況に応じ段階的に生産を再開していく」と発表している。二輪車の主力工場である熊本製作所は、地震の影響で建屋および設備の一部に大きな被害が出て、復旧は8月中旬を見込んでいるともしているが、前述のように状況の見極めがなされていることから、地震被害ばかりが決算発表の延期につながったとは思えない。

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佃 義夫[佃モビリティ総研代表]

つくだ・よしお/1970年、創刊86周年(2014年2月時点)の歴史を持つ自動車産業日刊専門紙『日刊自動車新聞社』入社、編集局に配属。自動車販売(新車・中古車)・整備担当を皮切りに、部品・物流分野を広域において担当した後、国土交通省・経済産業省など管轄官庁記者クラブ、経団連記者クラブ(自工会分室)と、自動車産業を総合的に網羅し、専任担当記者としてのキャリアを積む。その後、該当編集局内における各分野のデスク・論説担当編集局次長を経て、出版局長として自動車産業オピニオン誌『Mobi21』を創刊。以降、取締役編集局長・常務・専務・代表取締役社長を歴任。45年間の社歴全域で編集・出版全体を担当、同社の「主筆」も務める。日刊自動車新聞社を退任後、2014年に「佃モビリティ総研」を立ち上げ、同総研代表となる。


モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

「自動車」から「モビリティ」の時代へ――。クルマ業界が変貌を遂げつつあるなか、しのぎを削る自動車各社。足もとで好調を続けるクルマ業界の将来性と課題とは、何だろうか。日本の自動車産業・クルマ社会をウオッチしてきた佃義夫が、これまでの経験を踏まえ、業界の今後の方向・日本のクルマ社会の行方・文化のありかたなどについて、幅広く掘り下げ提言していく。

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